第3話 わかっていた賢い女神


「すごいすごい! いっぱい稼げましたね!」


 クエストを終えてガチャリカと俺は再び街に戻ってきた。

 害虫モンスターをぷちぷち潰す星1クエストを受けたはずが、迷いドラゴンに出くわして退治したおかげで高収入が手に入った。

 ギルドでは街の救世主と騒がれた。

 さらに、お忍びで来ていた髪型がツインテールの姫様に、お礼として首都にある城へと招待されたが――

 まあ、気が向けば顔を出そう。

 ともあれ、俺たちは街の大通りを『ガチャの塔』に向けて歩いていた。

 ガチャの塔。

 その塔は街の中心にそびえている。

 物理法則を超越して天まで伸びていて、透明で、中には色とりどりのカプセルが入っている。

 文字通りガチャをするための施設である。

 目の前をウキウキで飛び跳ねるガチャリカは、陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。


「あはは! アハハハハ! あれだけあれば! 1000連……いや! 1100連は回せますよ! ひゃっほーう! あひゃひゃひゃひゃ! ひゃひゃひゃー! ガチャガチャー! ガチャガチャガチャー!」

「いや、ガチャはしないぞ?」

「わかって! いましたよ! オチは! わかって……っ、いたんです……っ」

「……じゃあ道の真ん中で膝をついて拳を地面に打ち付けるなよ」

「わかっていても悔しいじゃないですかぁ!」


 俺はガチャの塔に併設さえた銀行にカネを預け――

 残った手持ちで昼食を取ることにした。


「えっぐえっぐ……ぐすん」

「もう泣き止めよガチャリカ。今回ガチャを回しに行かなかったのは、ちゃんとした理由があるんだ。旨いものを食べながら、それを教えてやるから。おごりだぞ? な?」


 うつむいて俺の後をトボトボついてきていた女神の腹から、きゅうっと音が鳴った。

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