第2話 溶ける女神
「くぅっ、眩しい! 溶けます!」
牢屋のあった地下から陽の当たる街に出るなりガチャリカは苦しそうにうめいた。
「陽の光で溶けるって女神の台詞じゃないよな」
「わたしはわたしですからね。――さて、それじゃあ行きますか!」
言って歩き出そうとしたガチャリカの首根っこを、俺は捕まえた。
「ぐえっ」
「どこへ行くつもりだ?」
「むー、決まってますでしょう。ガチャしに行くんです」
「カネは? ガチャをするにも元手が必要だろ?」
「えと、あなた……」
「俺の名前はカツキだ」
「カツキさん。カツキさんがくれるって話でしたよね?」
「言った覚えはないな」
「えー、でも、言いましたよ? 『ガチャとの付き合い方を教えてやる』って。それってガチャさせてくれるってことですよね? なので、はい!」
と、ガチャリカが俺の前に手のひらを出してくる。
「なんだ、その手」
「おカネくださーいな」
にへら、とだらしない笑顔で最低なことを言う女神である。
「あいにくと今カネはなくてな」
「なんと? じゃあカツキさんに用はありませんね。短い間でしたがありがとうございました。解散!」
「だからクエストに行くぞ」
「ぐえっ。首離してくださいよー。ていうか力強っ。女神のわたしが振りほどけません!?」
俺はジタバタするガチャリカを引きずって、ギルドに向かった。
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