ガチャの攻略法 ~ガチャ欲に溺れた女神をガチャを攻略した俺が指南する~
春日秋人
序章 最初の世界で
第1話 囚われの女神
「ガチャに負けはないんです!」
冷たい地下にある牢屋の中で、その女神――ガチャリカは得意気にのたまった。
黙っていれば美しい顔立ちの少女である。陽の光のもとであればさぞかし輝くだろう金髪を薄汚れた床に垂らしている。
鉄格子の外で、ふむ、と俺は腕を組んだ。
「つまりお前はこう言いたいわけだな。ガチャに負けはない。お目当てが出れば勝ちで、たとえ出なくても、出たときの喜びが増えるから勝ち。すなわち――負けはない、と」
「なっ、わたしの心を読んだんですか!?」
「違うよ。俺はただ、知っていただけなんだ。その思考をさ」
「す、すごい……!」
と、俺の答えに、女神ガチャリカは感銘を受けたのか目をキラキラさせ始めた。
俺の名は
異世界に召還された現代人だ。
だが、俺をこの世界に召還したのは目の前の収監されている女神ではない。
この女神の親にあたる
そのときに色々説明は受けていて、召還された目的も聞いていた。
「そうです。そうなんですよー。負けはないんですよー。爆死? そんなこと言って騒いでる人の気が知れませんよね! いやー、この考え方を理解してくれる同士がいたとは! わたしはてっきり、またお母さんがわたしを更正させるために送り込んだ真人間だとばかり。あ、お茶飲みます? 雨水にワラを浸けたものでよければありますよ!」
――それはお茶ではないのでは?
すっかり囚人暮らしが板についているらしい女神ガチャリカだった。
俺を召還した大女神の苦労がしのばれる。
「いやまあ、お前のお母さんに呼ばれたのはその通りなんだけどな? 娘をよろしくって」
「やはり敵でした!? わたしは反省しませんよ!? たとえガチャしすぎて一文無しになったあげくあやしい商売に手を出して牢屋に入れられようと反省はしません!」
「そこはしとけよ」
「わかりました。反省します。次はもっとうまくやります」
「そうか。うまくやる気はあるんだな」
「はい! ――はい?」
「なら、よしだ」
俺は看守から預かっていた牢屋の鍵を取り出す。
鉄格子の中でポカンとしているガチャリカに言った。
「俺がお前に、ガチャとの付き合い方を教えてやるよ」
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