第41話

 だが天は俺を見放さなかった。決定的な別れを切り出されることも覚悟して、ダメ元で愛華に連絡を取ってみたところ、なんと元の鞘に戻ることになったのだ。俺と離れている間に愛華は俺との関係を続けていくか否か悩んだが、結局俺を忘れることができなかったと聞いて、さらに有頂天になった。


 今まで時々つまみ食いはしていたものの、本命は愛華であるという気持ちだけは変わらなかった。今回の喧嘩でこの気持ちがさらに強固になった俺の頭の中にはっきりと『結婚』という文字が浮かび上がった。


 愛華と歩む人生を真剣に考えてみようと思った。今までだらしなかった自分を根本から変えなければならないと思えたのは愛華のおかげだ。感謝しなければならない。そして彼女を幸せにしなければならない。今思い出しても胸が熱くなる。俺の一生を決めた出来事、一生を変えた女。突然目の前が開けた気がした。


 いろいろと振り返っていたら愛華に会いたくなった。日が暮れてきた今、そろそろ愛華の仕事が終わる頃だろう。


 これから会えるかどうか聞いてみよう。待ち合わせ場所で会えたら、今日も君が好きだと伝えよう。愛華は微笑んでくれるはずだ。そこから未来へ続く二人の道を手を繋いで歩んで行くのだ。今の俺には明るい明日しか見えない。愛華以外他には何もいらないし、他のものなど見たくもなかった。

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