第35話

 『今日は風邪でバイトを休みます。来てくださってもお会いすることができないのでご了承下さい』



 今日は店に行く予定ではなかったが、律儀にメールをくれる彼の優しさに頬が緩んだ。それと同時に彼の体調を心配する思いが心を占めて、洗濯物もカフェラテもどうでもよくなってしまった。


 ちゃんと休んでいるだろうか?


 食べるものは家にあるのか?


 病院に行けたのか?



 まるで恋人を心配するかのような感情が一人の男に向けて湧き出す。恋なのか何なのか、自分でもよくわからない感情が胸の中いっぱいに広がった。わからないなりに私は幸せだった。

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