第27話

 結婚は波乱の連続だ。子どもがいない専業主婦として負担の軽い状況で生きている私が思うくらいなのだから、そういうものであるに違いない。その波乱は夫だけがもたらすものではない。夫からすれば私が波乱の元かもしれないし、夫でも私でもない存在が我が家に波乱の種を持ってくるかもしれない。


 今まさに私の側で波乱の種が蒔かれ、小さな芽が出ている。その芽を摘んでしまうことは簡単だ。だが一度摘んでしまえばそこからは二度と芽は出ないだろう。それを喜ばしいことと思うか虚しいことと思うかはモラルの問題なのだろうが、今はモラルよりも感情だ。


 一向に来てはくれない死神の代わりに私は彼を求めている。無気力な日々と孤独な時間から逃れるため、私は自分自身と結婚生活を壊すかもしれない不穏な芽の存在を見て見ぬふりをして妻を演じている。

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