第174話 犬? 狼さん? の親子を、おじさんは助けます(5)

 まあ、他国の兵? 盗賊?


 どちらかわからぬ男なのだが。儂は敵に塩を送るではないが?


 敵の男が成仏できるようにと願うことが可能な~。清い心の持ち主だから~。こんな素晴らしい世界……。


 と、いいたいところなのだが~?


〈バリ、バリ〉


 ……ん? 何かが、硬い物を食らう歯の音が聞こえてくるね~?


 い、一体、な、何が~? 何を~? 喰らっているのだろうか~?


 儂は自身の身体を震わせながら、脳裏でこんなことを思い。畏怖するのだよ。


 ……ッて? 誰に畏怖するのか、だって~?


 そりゃ~。遠目からでも、儂等家族の様子を見れば、誰が怖いか? ぐらいは、誰でもわかると思うのだが?


 まあ、取り敢えず、儂の口で、他人の耳でも聞き取れるような声を出したら。


 次に魔物に食われるのは、儂かも知れないから?


 儂の脳裏で囁くことにするから~。


 と、いうことで?


 儂の娘のさくらだよ。


 本当に恐ろしい女子(おなご)だろう~?


 まあ、儂が脳内で、一人二役……。『ブツブツ』と、不満を思い描いていると?


「うぎゃ、あああ~! いてぇえええ~! いてぇえええ~! 助けてくれぇえええ~! 死ぬ~! 死ぬ~!」



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