第93話 奥さま達との初デート? (32)

「サクラ~! 自身の父君に何をしているのですか~?」


 サクラが父親である儂の耳元へと、何度も大袈裟に吐息を吹きかけ誘うように嘆願──。


「ねぇ~。いいでしょう~お父様~。わらわだけの領地を用意してください~。さすれば~。わらわは生涯かけてお父様へと尽くし、老後の介護──。下の世話からなんでもします~。だからサクラのためだけの領地と民~。お城を用意してください~。お願いしま~」と。


 儂に急かしていると。どこからともなく怒号──!


 というか? 先程迄、意味不明な台詞をばかりを漏らす、自身の妹であるセリカと口論をしていたすみれが。今度は自身の愛娘であるサクラを凝視して憤怒──!


 すみれは荒々しい口調で憤慨しながら、娘のサクラへと言葉を放ってきたのだ。


 一体、サクラ自身の、本当の父親である儂へと何をしている。


 というよりも? 一人の女性として、何を優艶に迫っているのかと、娘のサクラに怒号を放ってきたのだよ。


 すると娘のサクラは、儂に妖艶に甘える行為をやめて、実の母であるすみれの方を向き対峙──!


「別にお父様に何もしていませんが~。わらわに何かようですか~? お母様~?」と。


 サクラは不快感をあらわにしながらすみれへと言葉を返したのだよ。


 う~ん、でもね? 不快感をあらわにしているのはサクラばかりではない。


 だからすみれとサクラは、親子で対峙──!


 それも儂の二の腕に甘えたままで、お互いが睨み合い──対峙するものだから、傍から見ている儂も困る。

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