第94話 奥さま達との初デート? (33)
と、儂自身が思っていると。
「すみれ姉~。サクラの奴~。実の娘なのに、おとうちゃんに、すみれ姉やセリカ姉のように優艶に迫って、自分の領地を手に入れて欲しいと嘆願していたぞ~」と。
儂の横……。
そう、儂はすっかり忘れていたよ。あにゅーの奴がセリカの代わりに儂と夫婦仲良く手を繋いでいたことを。
だからあにゅーの奴は、儂とサクラの親子の会話を聞く耳立て聞いていた。
と、いうよりも?
儂の横にいれば聞く耳立無くてもきこえるか?
儂の声色のトーンは大きい方だから、すみれやセリカのいる位置まで聞こえたかも知れない?
あやつら二人は本当に耳がいいからのぅ~。
う~ん、それでも儂は、自身の方へと怒りをあらわにしながら、『ドスドス』と、足音を立て憤怒しながら向かってくるセリカと、親子で言い争い──。
まるで大人の女性同士みたいな言い争いをしているすみれの二人に言い訳を告げるのだよ。こんな感じでね。
「すみれとセリカ~! お前達二人は可笑しいのかぁあああ~? 今あにゅーの奴がお前達二人に告げた言葉は。あにゅーの奴の聞き間違えだよ~。それにサクラは、儂の実娘だぞ~! サクラが父親の儂に告げていたのはぁあああ~。将来サクラが婿をもらった時に、家族で暮らすための生活の糧となる土地が欲しいから。今のうちに、父親の儂に、早目に用意をしてくれと嘆願をしてきただけだよ~。だから二人……。いやぁあああ~。みんなの勘違いだから、子供の言っていることは気にしなくてもいいからのぅ~」と。
儂はこちらをチラチラと見ながら、周りを通り過ぎて行く者達の目や。儂等大家族の様子を遠目から見ている者達の視線など気にしないで、声を大にして叫んだ──!
ショッピングモールの二階の売り場内に響き渡るほどの声で叫んだ──!
と、思うのだが?
すると先ずは、憤怒しながら『ドスドス』と、自身の足音を立てこちらへと向かっていたセリカの勢いと足音が停まる。
だから『ほう~』と、安堵する儂なのだが。次は自身の愛娘と儂のことで、優艶に言い寄っていたとか? と言い寄っていない! と、言い争いをしていたすみれの声が止み──。
夫の儂へと「御方さま、そうなの~?」と、訊ねてきたから。
「あああ~。そうじゃ~。そうじゃよ~。ふたりとも~」と。
またまた儂は安堵の声を漏らすのだよ。
「うぅ~ん、違いますよ~。わらわが将来お父様を介護……。お世話をするための領地とお城……若しくは? 館と兵と民を用意してくれと嘆願をしましたよ~」と。
儂がやっと妻二人……。すみれとセリカの誤解を解き、二人の機嫌をとろうとしていたのに。娘のサクラは、またセリカ並みの訳解らない台詞を自身の母親二人に告げて憤怒させてしまった。
だから儂の妻二人はお互い個々に、儂へと不満を告げてきたのだ。
こんな感じでね。
「あなたぁあああ~! サクラの今の言葉はどういう意味ですかぁあああ~⁉ もしかしてあなた達二人は、もう既に禁断の恋と行為に酔いしれているのではないですよねぇえええ~⁉」
「パパ~。セリカのライバルはレイちゃんばかりだと思っていたけれど~⁉ パパは、レイちゃんばかりでなくてサクラちゃんにも手を出していたのね~⁉ セリカは知らなかったよ~⁉ もう~、本当にパパは誰でもいいのね~⁉ 美少女ならばぁあああ~! 本当にもうパパは、みさかえないのだからぁあああ~!」と。
すみれとセリカ……。
儂の妻達二人が。夫である儂のことを蔑み罵ってくるのだよ。娘の訳解らない言葉を真に受けて……。
だから儂は、「はぁ~」と、嘆息を漏らした。
そして、もうどうにでもなれ~。お前達二人の好きにするがいいさぁ~。
と、儂は憤怒しているすみれとセリカに自身の身を任せた。
まあ、その後は、傍から儂等家族を見ていた皆の御想像通りで……。怒りをあらわにした二人の妻から儂は、アイアンクローに四の字固めにサソリ固めと……。
ショッピングモールの二階……。ス通りする通行人の目の前で儂は妻達から暴力──散々な目に遭ったのだった。
◇◇◇◇◇
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