第92話 奥さま達との初デート? (31)

 サクラの奴は妖艶に儂へと、自分自身も領地が欲しいと催促──。嘆願をしてきたのだ。


 まるで儂を父親というよりも、一人殿方として甘えるよう囁いてくるのだよ。


『フゥ~』と相変わらず、父親の儂の耳元や首筋に吐息を吹きかけながら。


 だから儂は思わず娘相手であろうが、自身の身体の力が抜け──。『フニャ~、フニャ~』と、海原を漂うクラゲのように力が抜けた。


 でッ、その後儂はサクラに。


「あ、あのなぁ~。サクラ~。新しい領地が欲しいと儂に、安易におねだりされてもの~。今のような服や靴、カバンやあ財布、下着を購入するのとはわけが違うのだぞ~。だから簡単に領地が欲しいと嘆願されてもの~。お父さんは困るよ~」と。


 妙に大人びて……というか?


 実の父親相手に、妖艶に甘えてくるファザコン娘に儂はたじろぐのだ。


 それも慌てふためきながら言葉を返えす。


 多分? 今の儂の顔は未だ幼さも残る娘相手に年甲斐もなく赤面をしていたと思う?


 まあ、とにかく、気が落ち着かない儂……。こんなことを自身の脳裏で思案をしていると。


「お父様なら大丈夫~。わらわ達二人のための今後……。将来の為のユートピア~! 桃源郷を必ず手に入れることは可能です~。それぐらいお父様に力がありますから~」と。


 娘のサクラの奴は、義理の母であるセリカ並みの意味不明な台詞を儂に告げてきたから。儂の脳裏は困惑をするのだよ。


 儂とサクラと二人のための将来設計とか。儂は全く持って意味がわからない。

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