第91話 奥さま達との初デート? (30)

 う~ん、でものぅ~?


 儂は只の平民上に、日本の家族に捨てられた者だ。


 そんな者がいきなり異世界──。元々オンラインRPGゲームだった世界の中の、一つの国の王さまだと家族に告げられても全然ピンとこないのだ。


 だから儂はサクラに。


「向こうの世界の儂らの国って、そんなに大きな国なのか?」


 と訊ねてみたのだ。


「ん? まあ~。普通というか? まあ、そこそこ、大きな国ではあるとは思いますよ~。お父様~」と。


 サクラはやはり『クスクス』と、大人びた優艶な笑みで微笑んでくるのだよ。


 まるで父親の儂を大人の女性として誘うような妖艶な微笑だから。儂は本当に恐ろしい……。


 だって先程から、自分の娘の妖艶さに儂は何度も生唾を『ゴクン』と飲みほして、自身の喉を鳴らしながら、サクラに魅入り見惚れてしまったぐらいだから。


 まあ、そんな状態の儂なのだが、自身の頭を軽く振り、煩悩を破棄捨てると、また娘のサクラに訊ねたよ。


「儂らの国以外にも沢山の国はあるのか?」


 と、訊ねてみた。


「えっ? ありますよ~。それはもう沢山~。この世界と変わらぬぐらいあると思います~」


 サクラは儂の問いかけに対して直ぐに答えてくれたよ。相変わらず妖艶な笑みを浮かべながら。


 でッ、その後直ぐに、母親であるすみれの目を盗み──。


 儂の二の腕へと、甘えるようにしがみついてきた。


 と思ったら? またサクラは自身の可愛い唇を開いて、父親である儂の耳元で囁くのだよ。


『フゥ~』と、吐息を吹きかけながら、母親のすみれも顔負けしそうな優艶な仕草でね。


「お父様~。あの国は、跡継ぎであるケインの物ですが~。娘のわらわも欲しいの~、領地が~。だからわらわの為に領地を手に入れてください~」と。

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