「う～ん、もう～。仕方がないわね～。パパもあにゅ～も～。今回だけだからね、あにゅ～にパパを譲ってあげのわ～」と。

　セリカは声を漏らすと。儂の二の腕を掴んでいた自身の両手を離して。

「ケイン君～。どこ～？　何処にいるの～？　ママはパパに捨てられたから～。今からママと一緒にお買い物をしましょう～。ケイン君～」

　セリカは、儂の息子でもあるケインの名を呼び──。

　そして叫びながら、辺りを見渡し始めたのだよ。

　先程までいた、儂とセリカの間にできた息子のケインの姿がないからと。

「ああ～。お母様～。ケインはこちらにいますよ～」

　自身の顔色を変えながら、息子の名を呼び、叫ぶセリカに。息子のケインからの言葉が返ってきたのだ。

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