第29話 昭和終わり世代の、貧乏人で坊ちゃん育ちの上、趣味多彩だった儂…… (25)
そして、数十分ばかり我が愛車のデリカを走らすと──ショッピングモールに到着。駐車場へと移動……。空いているスペースに車を停車すると、今度は、愚痴を漏らそうと思う。
儂自身の涙を滝のように流しながら。
……ん? 何に対しての愚痴を儂は漏らしたいか? だって?
そりゃ、あれだよ? あれ?
先程、家の家族が儂に対しておこなった愚弄に対しての愚痴を漏らしたい。
だって儂は今、ショッピングモールの駐車場へと着くなり、目を閉じて瞑想モードに入る。
先程儂に対して、女房や息子が暴言を吐いた時の回想シーンを自身の目を閉じて思い出すのだ。
すると儂の両目から滝のように波が流れ落ちるかもしれない。
儂はそんなことを思っていたのだが。実際は、そんなことはなかった。只段々と儂の心の奥底から、荒々しい気持ちがこみ上げてきただけだった。女房と息子の奴を絶対に許さないと。
だって、先程我が家で起きた出来事を脳裏で思い出すと──心の中から怒りがこみ上げてくる。儂自身の腸(はらわた)が煮えくり返りそうなぐらい。
だって、そりゃ、そうだろう? 女房や息子が一度でも儂の書いた小説を読んでくれてだよ。『お父さん、ここが可笑しいし。他にも可笑しな所が多々あるから、全然面白くないよ』と、儂も告げられたのなら。まあ、それは仕方がないこと。
よぉ~し! また頑張るか! また明日から精進して書くことにしようと心の中で叫び、明日へとまた夢と希望を膨らませながら、前向きな気持ちで、自身が邁進して頑張ろうと思う。
そして、今に見ていろ、儂だって。女房や息子がアッと、驚愕して感動をするような作品を書いてやるからなと思うのだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます