第9話 昭和終わり世代の、貧乏人で坊ちゃん育ちの上、趣味多彩だった儂…… (5)

 う~ん、でも、まあ、あれは、あれでね。儂自身も大変に楽しんだから、若き良き青春時代の思い出でだったと未だに思っているのだよ。それに、つい最近まで儂は、お酒を飲み酔ってしまうと、息子や妻達に、過去の栄光と言う奴の自慢話の武勇伝を聞かせてやっている。


 う~ん、でも、毎回そうなのだが、儂以外の家族が、武勇伝を聞いてもとてもつまらなそうな顔をする。


 それこそ、大変に迷惑なのだと、言わんばかりの不快な顔をしながら、『うんうん』と、頷きながら聞いている振りをしているのだよ。


 でッ、長男の場合などは、食事を慌てて食べ終わり、『ごちそうさま』と、言葉を述べて、足早にリビングを退室──慌てて自身の部屋のある二階へと退散……。そのまま、部屋に籠って音すら聞こえなくなる。


 まあ、とにかく儂は、昭和が終わろうとしている時代に、世間様から後ろ指を指される、と呼ばれていた趣味をね、結婚をするまでは続けたのだよ。


 まあ、とにかく、今で考えると学生らしくない容姿ではあったと思うのだが。あれは、あれで、良き学生時代の思い出だったと、今の儂自身の年頃まで老いてくれば、くるほど、過去の記憶が走馬燈のようにクルクルと回りながら想い出して。儂の短い期間ではあったが、良き学生時代の思い出だったと想う事が多々あるのだよ。


 でッ、その後は儂のような、ヤンキーをしていた者達に良くありがちな人生なのだよ。高校中退若しくは、何かしら事件を起こして退学……。その後は単車に車、そして女……。時代の方もと呼ばれていた時代だったと思うから?  儂が最初に勤めた職場も建築関係の仕事でね。まあ、周りの連れ達もそうだったのだが、複数の人数で、先輩やツレの親等が経営している建築関係の会社に勤めたのだよ。

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