②あっ!世界に危機が訪れました!

天使として働いて既に一万年。世界は毎日のようにどこかしらで危機が訪れる。昨日も既にとある世界に駆けつけた。


世界の扉は全部で数兆にも昇る。世界の扉と世界の数は等しい。要するに世界も数兆ほどあるのだ。


数年に一回の割合で世界が滅ぶ事がある。


その理由は様々であるが、最も大きいのは文明の発達による神々の怒りだ。


世界には循環がある。森羅万象、万物に。勿論、生命にも循環がある。


但し、多くの世界で<人間>なる存在が文明も発達させる。他の種族を率いて、倒して、殺して、食して。それは弱肉強食の原理として良いのだが、流石に文明まで発達させてしまえば、種族の循環が無くなってしまう。


神々も対抗策として、大飢饉や大災害などを引き起こすが、それでも文明が発達しすぎると、食料備蓄や都市整備によって、意味が無くなる。


そのような時に仕方無く、世界が神によって滅ぼされるのだ。これを<天罰>と言う。


さらに神々は特定の種族のみの文明の発達を妨げる為、<魔王>という存在を誕生させる時もある。<魔王>は、倒されるべきの存在であり、<魔王>には特定の種族のみの文明を程よく破壊してくれれば良いのだ。


そして、それが完了すれば、人間達の中かもしくは別世界の者を<勇者>として昇華させる。


別世界の者にする場合、一筋縄ではいかない。要求が大きいのだ。欲が大きいのも面倒なものである。


その為、神々は仕方無くその者達に<スキル>と呼ばれる特殊な能力を与え、魔王討伐に励んでもらうのだ。


この<勇者>という制度にはメリットもあるが、デメリットもある。


メリットは今言った魔王討伐だ。


デメリットには、魔王討伐後に自らの世界の知識を活かして文明をさらに発達させる事があるのだ。これが厄介なのである。<勇者>の中にはさらに誰かと結婚して、子孫を残そうとする者もいる。これがさらに厄介だ。


魔王を討伐する為だけの<勇者>が子孫にまでその高いステータスを与えてどうするのだ。


神々の直接の殺しは罪となるため、これに手を出せない。悲しい限りだ。


私は天使として、亜神として、出来ることは勇者さんを助ける事だけ!自分の仕事を頑張らっなくっちゃ!


天使はいつもと同じように自分を励まし、不眠不休のブラックな状況で働くのだった。

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