第7話事実

本当の自分をわかってない


浅井はそんな事言っていた。

自分のこと、わかってなかったな…


「私がやっている、ことなのか…」


先日破片を突き刺した太もも。

縫い跡がくっきりと残っている。

私は傷跡を優しく撫でた。


私はあの事件の時寝ていた。

ずっと夢だと思っていた。でも

知らぬ間に起きていたのかな。

割れた食器に触れた時、私は私の記憶を辿っていたのか、凄くゾッとした。


食器を何枚も割り部屋をめちゃくちゃにして。

あの夢で見たナイフを持っていた。


「部屋、荒れてない…」


私が見た記憶ではかなり部屋を荒らしていた。

でも実際部屋は荒れてなく当てはまるのは食器だけだった。


確認しよう。


私は立ち上がり部屋中の収納を見て回った。

気が付いてないだけで本当は色んな所が傷付いているかも。

あと私がやっているのなら

ナイフが家にあるはず。


ガサガサ…


書類と書類の間も靴箱も

くまなくさがした。


冷たいものが指に触れた。


「…っ!」


みつけてしまった。

私がやっている事なのだと

血が乾いたナイフが私自身に教えた。


私がゆっくり倒れる姿を

後ろで静かに見ている男がいた。

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