第3話現実
一気に現実世界。いやずっと同じ場に居たはずなんだけど。朝見たはずの浅井のデスクに視線を置く。でもそこに浅井は居らずデスクすらなかった。
私は何をしているんだか、まさか新しい職に就いて居眠り?そんな馬鹿な事する訳ないけど試しに頬を強く抓ってみた。
「痛い」
その日はもう集中力などなくなっていた。
帰宅し翌日の事を考え早めに布団に入った。
この夢の事になると凄く疲れる、気がおかしくなりそう。そう考えていたら自然と眠りについた。
グサッ
ものが貫通する音と同時に激痛が右脇腹に走った。
夢など見ていない、今度は現実。
激しい痛みに耐え目を薄く開ける。
ドクドクと吹き上がる血が布団にゆっくり染みていく。
夢で見た景色が浮かび上がった。
まさに今がその場面なのだろう、抵抗出来ずにいた。
そして腕を掴まれ刺さっていたはずのナイフが抜かれた。
これで思いっきり刺されて私は死ぬんだ…
吹き出る血が今まで体内にあったと思えないほど冷たかった。私は静かに目を閉じた。
「犯人の顔は見ていないのですか?変わったことでも何でも構いません、仰って下さい。」
次の日、目が覚めると病院に居て私は警察に事情を聞かれた。
刺されなかった。夢では思いっきり振りかざしていたのに私はトドメになるであろうその行為を受けなかった。だから生きている。
警察には夢の事と浅井の話をした。
夢の話は証拠にならない、調べようが無い為警察は困った顔をしていたが、浅井についてはすぐに調べると私に軽く礼し病室を出ていった。
信じてもらえなかった…
夢の話なんてしなければ良かった。
でもあまりにも状態が似ていたから。
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