48限目 LoSで遊んでみよう②
チュートリアル用のマップは、ゲームの基本を抑えるために最適化された、極めてシンプルなマップだ。
全体的な形状は正方形で、その上小さい。辺は四マスずつの土地で構成されていて、角となるマスには中継地点である
スタート地点である神殿のマスから時計回りに見ていくと、最初に赤の土地が四つ、
「覚えることが多いが、少しずつ教えていくから、わからないことがあったら都度聞いてくれ」
「はい」
NPCのターンが終わり、悠珠のターンになった。サイコロのマスは四となり、たどり着いたのは遺跡のマスだ。
「ここはなんでしょう」
「遺跡だな。ちょうど半周になる所に置いてあることが多い、いわば中継地点なんだ」
このゲームでの周回は、「
なんらかの要因でいずれかを踏むことなく神殿にたどり着いてしまった場合は、一周とはカウントされないシステムになっている。
「ここはモンスターを置けない代わりに、マップ上にある自分の領地に遠隔で指示が出せるんだ」
俺は悠珠の手にかぶせるようにマウスを動かす。すると、悠珠が今まで置いた二匹のモンスターがハイライトされている。最初においたケットシーにカーソルをあわせると、いくつかのメニューが表示された。
「ここでは基本的な要素の一つ、土地の強化を教えていく。神埼、強化を選ぶんだ」
「はい。……なにか出ましたね」
ポップアップしたメニューには、強化に必要な魔力値コストと、強化後の土地の価値、そしてケットシーへの補正値が表示されている。
ちなみに、プレイヤーの所持している魔力値をCP、土地価値をTP、それらを合わせた総魔力のことをMPと呼んでいる。
式にするなら、
CP + 全てのTP = MP
となる。
「順番に説明していく。まず、このチュートリアル用ステージの土地の基本価値は五◯だ。土地の強化は、この土地に魔力を送り込んで土地の価値を上げることを言うんだ。そこに示してあるように、五◯CPを支払うことで、土地の価値を倍の一◯◯TPにできるってことだ」
「先生」
そこで悠珠がお得意の挙手をした。その鋭さは手刀並で、近くにいた俺の喉仏をあやうく切り裂きそうなレベルだ。
「それはどういうことですか? クリアに必要なMPを伸ばすのが目的というのは認識していますが、CPを五十消費してTPが五十増えても、結局MPは変わっていないように思います」
「さすが神埼、とてもいい質問だ。だがその理由は後ほど答えたいと思う。まずは土地の強化をそのまま実行してくれ。答えは次期にわかる」
悠珠は渋々、返答に素直に応じて、土地レベルを上げた。土地レベルがレベル一からレベル二に上昇、土地価値を示す数値であるTPが五◯から一◯◯になった。
「さて、これで土地レベルが二になった。これも後ほど重要度がわかるが、土地レベルの最大はレベル五だから、覚えておいてくれ」
「わかりました」
悠珠のターンが終了し、NPCのターンへ移行する。サイコロ的に悠珠よりも大きな数が出ていたNPCはだいぶ先を行っていて、神殿直前の青のマスに止まり、モンスターを置いた。
「先生、気になっていたのですが」
「なんだ」
「この土地の色は、何か意味があるんですか?」
悠珠はくるっと振り返り、まんまるお目々をこちらに向けている。
「そうだったな。簡単に言うと、それぞれがモンスターカードの属性に対応しているんだよ」
LoSのモンスターカードには、五つの属性がある。属性を簡単に整理すると、次のようになる。
赤・炎や熱、地下や悪魔が属する。攻撃力が高い傾向
緑・大地や癒やし、動植物や不死者が属する。コスパに優れる傾向
黄・渓谷や風、天空や天使が属する。バランスに優れる傾向
水・水や寒さ、海や精霊が属する。防御力が高い傾向
白・無属性。何者にも属さないし、影響されない
「なるほど。イメージ通りの感じなのですね。でも、マップに白いマスは見当たりませんが」
悠珠は目前のマップを指さしている。先にも説明した通り、このチュートリアル用マップには、赤・緑・気・水の四色の土地しか存在しない。
「良いことに気がついたな。実は白い土地は少々レアで、大量に置かれることはないマスなんだ。実際のところ、イメージとしては四色って感じだ」
そんな設問に答えながらプレイしていると、NPCが先に神殿に到着した。
「先を越されてしまいましたね」
「ああ。神崎、ポップアップをよく見てみろ」
すると、NPCのアバターが光に包まれ、「周回ボーナス」と書かれたポップアップが表示された。
「プレイヤーは周回するたびに、持っている土地価値に応じてCPが補給されるんだ」
「ああ、なるほど! 周回した時点でより多くのCPを得るために、土地の価値を上げておくんですね」
「その通り!」
周回ボーナスで獲得できるCPは、細かいがしっかりとした計算のもとに支給されるようになっている。影響するのは、周回数や所有する領土の数、そして領土のレベルなどだ。
「つまり、だ。このマップの上をぐるぐると周りながら領土を増やし、領土のレベルをあげることで、より多くのCPをゲット、MPを増やしていくんだ」
「なるほど……」
「そして、これからがこのゲームの面白い所なんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます