第三章《小話》 青き鬼の眼
「…やっぱり持ってたのかしら、何か」
あの人の子の五人組を見送った後、私は一人、物思いに
(隠そうとはしたんでしょうね、そのせいか多少は弱まっていたけれど…)
明らかにあの侑都という人の子から漏れでる妖力がただならぬものであった気がするのだ。
「現世に行った時に何かあったとか…?」
…いや、それはないだろう。
よく考えてみれば現世であやかしに関係する妖気だったり妖力だったりの類は避けられているではないか。
ただ一つ引っかかるとすれば…
「でも…あの妖力は私たちあやかしの妖力と対立するようなものだったわね…」
────あやかしの妖力と対立する。
要するに…
「あやかしである我々を倒すための妖力である…」
対あやかし用の妖力が込められたものがある、という噂は耳にしていたけど…
それは本来、普通の人の子では扱いきれないような妖力のはずだ。
「ましてや、あやかしの類に関係深いような神社の者でなり限りは有り得ないわよね…」
「青行燈様?どうかされましたか??」
ぼーっとそんなことを考えていると、隠世の製氷を全て担っている
「あ…いえ、何でもないの」
「ならいいんですけど…ついさっき来て鳥居で待っていたのですが、お忙しいようでしたので…すみません、ここまで来ちゃいました」
「いいのいいの、気にしないで。さっきまでいた人の子のことで考え事をしていただけよ」
「へぇ、人の子ですか。珍しいですね」
「ええ、そうね…滅多に来ないもの」
「今は現世も色々と大変そうですからねー…何やら鬼桜葉神社とかいう神社のことで」
鬼桜葉神社…?
どこかで聞いたことのある名だ。
ひょっとして…
「そこって…鬼神様を祀っているところよね?」
「ああ、そうですそうです」
やっぱり。
この間現世に行ってきた煙々羅がそのようなことを言っていた気がしたのだ。
にしてもその神社にそんな大変なことになるようなもの、置いていたかしら…?
(とにかくあの人の子のことで気になることが増えたわ)
私はそう一人で考えながら、彼女が向かった秋風の区の方へ目をやった。
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