その41 むるつこむ


 検索結果……たれこむ


 普段と趣向を変えて、スマホのフリック操作でわちゃわちゃと指を動かして入力してみました。今回を含め三回同じ手法でいきます。

 この“たれこむ”ですが、刑事ドラマに出てくる“タレコミ”とは別の物です。なんと古語で、『すだれとばりを降ろして室内に籠ること』という意味なんだとか。引きこもりもある意味タレコミ屋だと言えるんですね。


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 A案 展望室お姫様日誌

 とあるお城に住むお姫様は昔から体が弱く、心配した王様によって尖塔の頂上にある展望室から出ないように言いつけられていました。

 いつまでも変わらない部屋の中で、唯一の楽しみは望遠鏡から覗く城下町の景色だけ。物知りな『本棚先生』に質問しながら、今日も初めて見た物に目を輝かせて日誌に書き込んでいきます。

 いつかきっと、お姫様は誰よりも町に詳しくなるでしょう。


 B案 ココロ・シャッター

 がしゃん。私は人づきあいで「この人嫌だなあ」と思うと、心のシャッターを降ろす。必要以上に絡んでくるクラスの女子。下心見え見えで近づいてくる男子。正義感に目が眩んで理想を押しつけてくる担任。機嫌が悪くなると理由をつけて怒鳴ろうとする母親。子供よりも自分が可愛い父親。

 そんな彼らの攻撃を遮断して、なおかつ私の本心も打ち明けずに済む。自分を殺すだなんて物騒な言い方をされるシャッターの内側は、世間様が言うよりも随分と居心地が良い。

 さあさあおいでよシャッターライフ。上げるは辛いが降ろすは楽だよ。


 C案 ミミック狩り

 ミミックというモンスターをご存知だろうか。宝箱に身を潜めて機を窺い、冒険者が油断して箱を開けたところで襲い掛かるのだ。

 そんな彼らはモンスターの中でも特に冒険者の致死率が高い。予測できないタイミング。何度も重ねた『ミミックじゃなかった』という経験は危機感を麻痺させ、結果として生まれた冒険者のほんの一瞬の隙をスナイパーのように撃ち抜く。

 しかし、たくさんの冒険者を倒しているということは、その分彼らの箱の中身は金銀財宝のオンパレードなのではないだろうか。そんな邪な発想を元に、ミミックを探すというなんとも珍妙な私の旅は始まった。



 以上、三本です。

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