第二話 二人の間柄
それから毎日の様に、私はアリスに通う様になりました。ええ。勿論婇に逢う為です。あの日以来、私は婇に恋心を抱いてしまった様で、毎日アリスに通い、婇に逢うのが日々の楽しみとなっていました。
「アラ。岡崎さん。いらっしゃい」
婇はいつも、笑顔で私を迎えてくれます。彼女の笑顔を見るとどことなく嬉しく、癒やされ、嫌な事も忘れて行くのです。この時から婇は既に、私の女神の様な存在だったに違いありません。
私はいつも「アア。また来たよ。婇ちゃん」と返します。それも、私の日課の一つなのです。
近頃は冷えますから、私は何時もシチウを頼みます。
「岡崎さんはよくシチウをお召し上がりになるのね。そんなにシチウがお好き?」
「アア。最近は冷えるからね。温かい店で温かい実シチウを食べると、とても温まるのさ。婇ちゃんも一口食べるかい?」
すると、婇は満更でもなさそうな顔をして云います。
「いいえ。遠慮しとくわ。・・・ネェ。からかってるでしょ?」
「ハハハハ。済まない。一寸からかってみたんだ」
「もぅ。意地悪ね。岡崎さんは」
そう云って婇は拗ねた顔をします。そんな顔もやはり可愛らしいのです。私は段々と、彼女の魅力に浸かって行きました。
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