無知
血で染め上げたような真っ赤で美しい花を見つけた。
きれいなその花を持って帰りたい衝動に襲われ、つい手をかけた。ぽきり、と根元から折り、落とさないよう、けれどこれ以上は傷めないよう力加減をして、家へと持ち帰る。
×××
「あれ。その花どうしたの?」
家についてすぐ気づかれた。鏡の中に住んでいるから、こちら側がよく見えるのだろう。その声を、存在を無視して、玄関先に生ける。
赤い花弁が光に照らされて、先程よりもきれいに見えた。
鏡の中から声が聞こえる。なにやら焦っているような。声を聞き取ろうとするも、なんだかうまく聞こえない。
「………だ、……ね。これじゃ」
断片的にしか聞き取れない、いつもはもっと明瞭に聞こえるのに。なぜ。と思う前に視線が強制的に下がる。
「毒がある花なんて取ってくるから。あーあ、棺を用意しなきゃいけないね」
そう、はっきりと耳元で声がした。
――――――――
Twitterでの #ノベルちゃん三題 で書いたものになります。
要はTwitterまとめ。お題は鏡/棺/毒でした。
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