杉三長編 刺身包丁
増田朋美
第一章
刺身包丁
第一章
寿司屋、佐久間すし。がらりと引き戸を開けて、杉三と、藤吉郎が入ってくる。
板長「いらっしゃい。」
杉三「こんにちは。今日は、僕の親友を連れてきたよ。」
板長「お、新しいお客さんだね。よろしくね。」
杉三「ほら、自己紹介しろ。」
藤吉郎「木本。」
板長「はい、木本さんね。寿司は、好きかい?」
藤吉郎「はい。」
杉三「はいじゃないでしょうが。」
藤吉郎「あ、、、。」
杉三「そういうときはね、すきですとか、大好きですとか、そういう言葉を使うんだよ。」
藤吉郎「好きです。」
杉三「よくできました。」
板長「偉いねえ、杉ちゃんは。そういう人の世話が焼けるんだから。じゃあ、席についてくれよ。」
杉三「どこでもいいの。」
板長「いいよ。二人が座りやすいところで。」
杉三「じゃあ、こっちにしよう。」
と、すぐ近くのテーブルに着く。
板長「おい、蓮子さん、この二人のお客さんにお茶を出してやってくれる?」
その、蓮子と呼ばれた女性のウエイトレスは、確かに美人であるが、どこかきつい雰囲気を持っていた。
蓮子「お茶でございます。」
杉三「なんか馬鹿にきついな。もうちょっと、明るい顔をした人はいないのか。」
蓮子「まあ、ひどいこと言うのね。」
杉三「ひどいことじゃないと思うけどね。」
蓮子「いいえ、女性にそんな発言をするなんて失礼にもほどがありますよ、お客さん。」
杉三「はあ、そうですか。それより早く、メニューを読んでくれよ。」
蓮子「そんなの、壁に貼ってあるでしょう。」
藤吉郎「読めない。」
蓮子「読めないって何が?」
藤吉郎「文字。」
蓮子「文字が読めないってこと?そんなの、江戸時代じゃあるまいし、ありえないはずよ。馬鹿にするのもいい加減にして頂戴ね。」
藤吉郎「本当。」
蓮子「あなたたち、一体何を考えているの、まさか、」
藤吉郎「ちがうよ。」
と、そこへ、別のウエイトレスが、二人の下へやってきて、
ウエイトレス「あの、もしよかったら、私がお助けしましょうか?」
杉三「あ、ぜひ頼む。もうね、こういうきつい人は、いくらいっても通じないからねえ。」
ふてくされた顔で、退散していく蓮子。
ウエイトレス「はい、じゃあ、左から読んでいきますね。えーと、まず、どんぶり物で、鉄火丼、漬けマグロ丼、ねぎとろ丼、あられ丼、いくら丼。貝尽くし、マグロ尽くし、助六、」
杉三「じゃあ、いくら丼をいただこう。」
藤吉郎「助六。」
ウエイトレス「はい、いくら丼と助六ね。板長さん、いくら丼と、助六お願いします。」
板長「はい、毎度あり。重美さん、ありがとうな。」
杉三「重美ちゃんか。かわいいのに、硬い名前だな。」
ウエイトレス「ええ、佐野重美です。」
杉三「まだ新人?前に来た時は見かけなかったぞ。」
重美「ええ、昨年にここで雇ってもらったばかりです。」
杉三「へえ、その年ですし屋で働くとは珍しい。まだ、若いのに?」
重美「よく言われます。」
杉三「何かわけでもあるのかい?」
重美「いいえ、大したわけじゃないんですけどね。」
板長「あれ、すし屋になりたいからって、すごく熱意を持ってきてくれたじゃないか。今までの仕事だって、一生懸命やってくれているし、こりゃあ、期待のできる子だと思ってみているぞ。」
重美「い、言わないでくださいよ。私、本当に大したものではないんですから。」
杉三「いや、板長がそういっているんだから、それは見込みがあるぞ。もしかしたら、未来の板長になれるかも?」
板長「そうそう。この年になると、後継者がほしくなるもんよ。それに、こういう業界で、こんな若い人が入ってきてくれるのは、めったにないんだから、大事にしなきゃねえ。」
重美「いえいえ、私は、店の中をうろうろしているだけですよ。」
藤吉郎「かわいい。」
重美「かわいいって、それを言うなら、蓮子さんのほうが、よっぽど綺麗じゃないですか。」
藤吉郎「ちがうよ。」
重美「違うよって、顔を見れば一目瞭然です。」
板長「ほい、まず、助六ね、これを運んでやってくれ。」
重美「はい、わかりました。」
と、お盆を受け取り、それを藤吉郎の前に置く。
藤吉郎「あ、、、。」
杉三「ほら、なんていうんだった。」
藤吉郎「ありがとう。」
杉三「よし、うまくいえたな。」
重美「いいえ、どういたしまして。」
他の客「おーい、板長さん、ビールを一瓶!」
板長「はいよ。今もっていかせるよ。重美さん、向こうのお客さんに、ビールを一本と、杉ちゃんに、いくら丼をもっていってやってくれ。」
重美「はい、わかりました。」
と、いったん板長のところに戻り、ビール瓶を冷蔵庫から取り出して、盆にのせる。
他の客「何をもたもたしているんだ。早くビール持ってきてくれよ。」
重美「今もっていきます、すみません。」
右手でビール瓶の盆、左手でいくら丼を乗せた盆をもって、重美は急いで客席へ急ぐ。しかし、床の上に、石のようなものが落ちていたのに気が付かず、転んでしまう。その拍子に、ビール瓶が落ち、けたたましい音を立てて割れる。左手に持ったいくら丼も、無残に床の上にこぼれてしまう。
重美「ご、ごめんなさい!申し訳ありません!」
蓮子「ちょっとあなた、これで何回目よ!自分で数えてみたらどうなの!早く片付けて新しいビールをもっていきなさいな!」
重美「も、申し訳ありません。」
と、急いで立ち上がり、モップを取りに行く。
蓮子「このお客さんの食べるものもなくなっちゃったじゃないの!あーあ、余分にお金使わせて、かわいそうに。」
杉三「いいよいいよ。注文しなおせばそれでいいだろ。板長、もう一回いくら丼作ってくれる?」
他の客「俺のビールはどうなるんだ。」
蓮子「ああ、お客さんすみませんね。ビールならすぐに出しますから。この店を嫌いにならないでね。」
と、急いで冷蔵庫からビールを出し、客のテーブルに置く。
蓮子「あなた、こんな不祥事を何回繰り返したら気が済むの?お客さんに迷惑が掛かるじゃないの。もう、こんなに不祥事ばっかりやらかすのなら、もう、いっそのこと出てってもらったらどう?どうですか、板長。」
板長「でもなあ、、、。」
蓮子「いいえ、板長。いくら彼女が熱意をもって、ここに働きに来てくれたとしても、こんなにたくさんの不祥事を起こされては、考えざるを得ません。彼女が言えないなら、私が言いますけどね、彼女は、これまでに30回以上ビール瓶を割っているのです。」
板長「それでもなあ、、、。」
蓮子「板長、ここはこの店の経営者として、しっかりするべきではありませんか?板長は、やる気さえあれば何十年もできる仕事だと言いますけど、この人は、ビール瓶は落とすし、お皿は割るし、しょうゆとポン酢を間違えたことだってあるでしょう。本当にやる気があるのかも疑わしいですよ。」
重美「ごめんなさい、私、そんなつもりはありません。これからは、ビール瓶を割ることはしないように気を付けますから、どうかこの店にいさせてください!」
蓮子「いいえ、そのセリフも何回聞いたかわかりません。そのセリフを聞いて許してきたけど、今回は、もう、頭にきたから、この店にはいないでもらいたいものですね!どうですか、板長!」
板長「う、うん、、、。」
杉三「ここで人事異動の話はしないでもらえないかな。」
蓮子「まあ、そうですよね。お客さんからみたら、嫌な気持ちがしますよね。でも、その原因を作ったのは何と言っても彼女ですから、彼女に責任とってもらわないと、お客さんも気が済まないでしょうね。」
藤吉郎「ちがうよ。」
蓮子「お客さんも、遠慮しないでいいんですよ。だって、困るでしょ、食べるものをああして落っことされたら。」
藤吉郎「ちがうよ。」
蓮子「違う?違うって何が?」
藤吉郎「落とした。」
蓮子「落とした?ああ、確かに彼女がビール瓶を落としましたね、それはごめんなさい。」
藤吉郎「いし。」
蓮子「いし?確かにこの店の床は、御影石でできていますけど?」
藤吉郎「前掛け。」
蓮子「前掛けがどうかしたんです?私たちは、前掛けを付けていますけど?」
藤吉郎「いし。」
蓮子「は?」
藤吉郎「落とした。」
蓮子「だから、誰がなんで石を落としたのですか。あなたも、頓珍漢なことを言わないでくださいよ。」
板長「蓮子さん、ちょっと、前掛けのポケットに入っているものを出してみてくれませんかね。」
蓮子「前掛けのポケットは空っぽですよ。それがなんというのですか。」
藤吉郎「穴。」
板長「空っぽであるのを見せてくれる証拠に、手をいれてみてください。」
蓮子「わかりました。じゃあ、こうすればいいのですか!」
と怒り半分で前掛けのポケットに指を突っ込むと、びりっという音がして、指はポケットの中を貫通する。
藤吉郎「指。」
蓮子「何よ!」
藤吉郎「見える。」
杉三「やっぱり、君の仕業だったんだね。つまり、前掛けのポケットに穴をあけて、石をそれとなく落とし、気が付かない重美さんを転ばせたわけか!」
蓮子「ま、ま、まあ、、、。」
板長「なるほど。そういうトリックだったわけか!長年信頼してきた人が、こんな風に弱い人をいじめるとは、俺も、人材選びを間違えたのかなあ。」
杉三「僕は、はじめっからそうじゃないかと思っていたんだよね。」
板長「ごめんねえ。じゃあ、杉ちゃんのいくら丼、急いで作るから、もうちょっと待っててくれ。」
杉三「はいよ。次に来た時は、意地悪な美女はいらないからね!」
板長「ごめんごめん。何とかしておくよ。今回は本当に済まなかった。」
重美「ありがとうございます!」
藤吉郎「はい。」
杉三「ちがうでしょうが。」
藤吉郎「ありがとう。」
杉三「それも違う。」
板長「まあまあ杉ちゃん、今日ばかりは、お返しはいらないよ。俺たちが悪いんだから。」
杉三「いや、ちゃんとしたことを教えて行かないと、後で困るんだ。ほら、こういう時にはどういたしまして、そういうんだよ。」
藤吉郎「どうたしまして。」
杉三「よくできました。それより、僕の昼飯、早く作ってくれ。」
板長「ああ、すまんすまん。今から作るからね。」
他の客「へえ、すごいなあ、あの二人。」
他の客「聖人君子みたいだな、、、。」
他の客「しかし、蓮子さんが、あんなに意地悪をしているようには見えなかったなあ、残念だ。」
数日後。道路を移動している蘭。
前方から、一人の縦じま模様の着物に、前掛けを付けた女性がやってくる。
蘭「どっかの料亭の従業員さんかな。」
女性は、蘭を見ると駆け寄ってきて、声をかける。
女性「あの、すみません。」
蘭「はい、なんでしょう。」
女性「私、佐野重美という者ですが、このあたりに影山さんという家はありませんでしょうか?」
蘭「影山?どこの影山でしょう?」
重美「ええ、影山杉三さんという方が住んでいる家です。」
蘭「影山杉三!杉ちゃんのこと?」
重美「ええ、そう呼ばれているみたいですね。板長に道は聞いたんですけど、わからなくなってしまったのです。」
蘭「板長?ちょっと待って、あなたはどなたなんですか?」
重美「私は、佐久間すし店で働いているものですが、杉三さんに、先日助けてもらったんです。だから、お礼を言いたくてきました。」
蘭「は、はあ、、、。まあ、とにかく杉ちゃんの家なら、ここからすぐ近くですよ。連れて行ってあげましょうか。」
重美「あ、ありがとうございます!お願いします。」
蘭「わかりました、、、。ついてきてください。」
と、車いすを動かし始める。
杉三の家の前。呼び鈴を押す蘭。と、ガチャンとドアが開く。
蘭「おい、杉ちゃん、この人が杉ちゃんにお礼を言いたいっていうのだけれど、、、。」
杉三「お礼?あ、重美さん!」
蘭「なんだ、すでに知っていたのか。」
重美「杉三さん、こないだはどうもありがとうございました!あの時に、ああして気が付いてくれなかったら、私、店をやめなきゃいけなかったかもしれません。おかげさまで、店を辞めずに済んだのです。ありがとうございました!」
杉三「いや、気が付いたのは、馬鹿吉のほうなんだから礼をするなら馬鹿吉に言ってくれ。それに、敬語なんか使わなくたっていいし、杉三さんなんて呼んでほしくもない。杉ちゃんでいいんだよ、杉ちゃんで。」
蘭「馬鹿吉、、、。ひどいあだ名だな。」
杉三「そうだよ、馬鹿吉だよ。そうだ、蘭、ついでに僕の電話帳から、馬鹿吉を呼び出してくれよ。僕が読み書きできないの、知っているだろ。」
蘭「わかったよ。でも杉ちゃん、いくらなんでも馬鹿吉と呼ぶのはちょっとひどいんじゃないの?」
杉三「でも、ダメ吉よりはましだろ。せっかく来たなら上がってよ。ほら、蘭、早く、電話をかけて。」
蘭「もう、しょうがないなあ。スマートフォン貸して。」
と、杉三からスマートフォンを借りて、急いでダイヤルする。
杉三「寒いだろ。上がってよ。今お茶入れるよ。カレーも作るよ。」
重美「まあ、ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて、お邪魔させていただきます。」
杉三「はいよ。かまわないよ、どんどん上がってくれ。」
重美「はい。お邪魔します。」
と、草履を脱ぎ、家の中に入る。
重美「へえ、これが杉ちゃんの家なんですか。すごくきれいに掃除されていますね。なんか、すごいものがいっぱいある、、、。」
杉三「いや、何もないよ!それより、甘いのと辛いのとどっちがいい?」
重美「ああ、私は、辛いほうが。」
杉三「なるほどね。わかったよ。じゃあ、それで作るよ。ああ、蘭、馬鹿吉はすぐ来るって?」
蘭「来るってさ。お母様の話によると、すぐに連れていくそうだ。」
杉三「そうか。じゃあ、テーブルに座って待っていてくれ。急いでカレーを作っちゃうから。」
重美「はい、お待ちします。」
杉三「蘭も一緒にね。」
蘭と重美は、テーブルに座る。
蘭「荷物は、テーブルの上にでもおいてください。」
重美「ありがとうございます。じゃあこれ、置かせてください。」
と、持っていた重箱を、テーブルの上に置く。
蘭「いったい、杉ちゃんとは、どういう経緯で?」
重美「ええ、杉ちゃんたちが佐久間すしに来てくれた時、たまたま私が、接客して、そこで知り合いました。」
蘭「それで、何かトラブルでもあったんですか?」
重美「ええ、ちょっと恥ずかしい話ですが、私、先輩のウエイトレスさんからいじめられていて、その人に仕組まれて、ビール瓶を落としてしまったんです。露呈したその時は、店をやめなきゃいけないかと思ったんですけど、杉ちゃんたちが解決してくれたんです。」
インターフォンが鳴る。
杉三「あ、馬鹿吉が来た!おい、ちょうどいいや、中に入れ!」
重美「ああ、私、お手伝いします。杉ちゃんが、一生懸命食べさせようとしていたところを、私、見ましたから。」
蘭「見たんですか?」
重美「ええ。杉ちゃんすごいなと板長が言っていましたよ。あそこまで障害の重たい方に、ああして世話を焼いて、ちっとも嫌そうな顔をしないところが。私も接客業として、見習わなければいけないところですわ。じゃあ、手伝ってきます。」
と、玄関のほうへ歩いていく。数分後、
重美「はい、こちらでよろしいですか?」
藤吉郎「はい。」
重美は、彼を、テーブルの前に着けてやる。
杉三「ハイじゃないでしょうが。」
藤吉郎「ありがとう。」
杉三「よくできました!よし、カレーができたぞ、食べようぜ。」
重美「今日は、カレーだけではなく、お寿司も食べてくださいね。あの後、板長が、初めてお寿司を作らせてくれたんですよ。だから、今日はちょっと腕試しに、つくってみました。」
と、重箱の蓋を開ける。大量の寿司がぎっちりと入っている。
蘭「寿司職人だったんですか!それにしては、かわいらしいというか、なんというか。」
杉三「だろ。まだ、あどけなさが残っている、かわいい子だよな。」
藤吉郎「あの人。」
重美「どうしたんですか?」
藤吉郎「終わり。」
杉三「終わりってだれのこと?」
藤吉郎「悪い人。」
重美「ああ、板長が、もう用はないからって言って、彼女は出ていきました。」
杉三「本当!じゃあ、あの蓮子という悪女はもういないわけね!じゃあ、よかったね!これからは、安心して板長を目指してくれ。」
重美「ええ、杉ちゃんたちのおかげです。」
杉三「よかったな、馬鹿吉もたまには人の役に立つもんだ。」
重美「だから、私が握ったお寿司も一緒に食べてくださいね。」
杉三「わかったよ。言われなくても食べるよ。じゃあ、今日はごちそうだあ。カレーと寿司と。なんだか、共通点のない組み合わせだけど、思いっきり食べて、盛り上がってくれよ!」
重美「私のは、杉ちゃんのカレーに比べると、まずいかもしれませんが、、、。」
藤吉郎「違うよ。」
杉三「その通り!あの、意地悪女が作るよりずっとうまいだろう。じゃあ、喜んで食べようぜ!」
と、盛り付けたカレーを一人一人に配っていき、いったん台所に戻ってきて、しょうゆを取ってくる。
重美「私、ビール継ぎましょうか?」
杉三「いや、僕らは、お酒は飲めないから。」
重美「そうなんですか。それはすみません。」
杉三「いいよ!そんな細かいことはいちいち謝んなくていい。じゃあ、今日はみんなで盛り上がろう。いただきまあす!」
と、重美の作った寿司に手を伸ばす。
杉三「うまい!」
蘭も寿司を一貫口にして、
蘭「ああ、これはうまいよ。初めて握ったにしては上出来だ。君もなかなか寿司の才能もあるんじゃない。」
杉三「馬鹿吉、お前も食べろ。」
藤吉郎はぎこちない手つきで、かろうじてご飯の上のマグロをはがしとることには成功する。
重美「手伝いましょうか。」
杉三「いや、手は出すな。」
重美「そうですか?」
何とかして、マグロを口に運ぶ藤吉郎。
重美「どうですかね、、、。」
杉三「ほら、馬鹿吉、答えを出せ。」
藤吉郎「ありがとう。」
杉三「違うよ。」
重美「いえ、大丈夫です。誤用されても、その顔を見れば、大体の意味は取れますので。」
杉三「いや、きちんと、教えていかなきゃだめなんだ。いいか、馬鹿吉、そういうときは、うまいですとかおいしいですとか、そういうことをいうんだよ。」
藤吉郎「おいしい。」
重美「ありがとうございます!うれしいわ。」
藤吉郎「どう、、、。」
杉三「そこで止まるな。」
藤吉郎「いたしまして。」
杉三「もう一回言ってみて。」
藤吉郎「どういたしまして。」
杉三「よし!よく言えた!」
重美「すごいわ。杉ちゃん、教育係になっても困らないわね。」
杉三「うるさい、僕は、教育という言葉は大嫌いだ。それほど、百害あって一利なしな言葉はないよ。まあ、今日は、せっかくだから、重美さんの作ってくれた寿司を食べようぜ!」
と、稲荷寿司にかぶりつく。
蘭「あーあ、本当に、この二人、どうなっているんだろうか。」
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