第2話 雪の夜

雪はしんしんと 降っているのです

雨よりも ゆるやかに

花のように 舞うことはなく

世界を染めることが 義務だというように

ひとつ またひとつと 白を置いてゆく

音さえも飲み込んで 白が重なってゆく


このまま わたしの心も白に染めてくれやしないかと 曇天を仰いでみるのだが

雪はしんしんと 降っているのです

肩に積もる 雪の重さで 染めるどころか

埋もれてしまいそうで

これはいかんと 雪をはらって帰路につく


さくさく きゅっきゅっ

さくさく きゅっきゅっ

ガラスを散らした夜の道は いつもより明るく見えるのです

なんだか楽しくなってきた

               雪の夜

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あの頃の僕ら 桜河 朔 @okazu965

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