第22話 国家の上に立つ者


 ゼウスヘパイトスは、トルクメニスタン共和国の建国を宣言した。

 それに無論、中国は激怒した。

 だが…ゼウスヘパイトスは、国連の介入を行い多国籍軍が入り込み、中国の入り込む隙を潰す。

 そして、多国籍軍、国連の監視の下で、選挙が行われる準備が始まった。


 国連の担当者が、ゼウスヘパイトスの山中がいるSRフィランギルに入り、クワガタ型の大型ロボットの王座に座るゼウスヘパイトスと話をする。


 ゼウスヘパイトスの王座の前には、大きなテーブルが置かれて担当者がその席に座り

「貴殿は、今後、どのようにトルクメニスタン共和国を運営するのですか?」


 ゼウスヘパイトスは淡々と

「簡単だ。選挙で選ばれた議員によって議会を構築、その文民統制に入る」


 担当者は戸惑いを見せ

「え、支配者になるのでは?」


 ゼウスヘパイトスは眉間を寄せて首を傾げ

「はぁ? 別に…。私は、この国の防衛を行うだけだ。シビリアンコントロールに入ったら、議会の運営に従う」


 担当者が目を丸くして驚きつつ

「では、もし、議会が…他国への侵攻を決定した場合は…」


 フンとゼウスヘパイトスは鼻息を荒げ

「貴殿は、私の話を聞いていたのか? 国の防衛を行うだけで、議会がそのような侵攻を決定しても、私は拒否をする」


 担当者が

「では、内部で…何かの混乱、戦闘が行われた場合…手を下すと…」


「んんん!」とゼウスヘパイトスは苛立ちに唸り

「さっきから、ちゃんと私の話を聞いているのか? 国の防衛を行うだけと…。国民に自身の武力を向けるのは絶対にしない。そういうのは、警察の仕事だろう。まあ、警察からの要請があれば従うが…。それでも、私とは違う自衛隊のように国内の災害や治安を守る自衛の組織は作るつもりだ、無論、人殺し専門ではない。人命救助の組織だがね」


 担当者は困惑を浮かべ次に

「では、もし…貴殿が、必要ないと…否定された場合は…」


 ゼウスヘパイトスは、渋い顔して

「その時は潔く、ここを去るが…妻の事は認めて居させて欲しい」


 担当者が驚きを向け

「妻? え、伴侶が…」


「ああ…」とゼウスヘパイトスは肯き「おーい。イリディア」

と、別室の自動ドアが開き、そこからブルーのイスラムの女性衣装に身を包むイリディアが来た。

「はい。なんですか? アナタ」

 イリディアがゼウスヘパイトスの隣に来ると、ゼウスヘパイトスは、大型クワガタロボットの王座から降りて

「紹介する。妻のイリディアだ」


「はぁ…」と担当者は驚きの声を漏らす。

 ゼウスヘパイトスの山中 充は独身と聞いていたので驚きだった。


 ゼウスヘパイトスは、16歳の妻の背を右手で触れ

「妻は、ここの出身でね。この地域の現状を聞いて何とかしたいと思って。このような行動を起こしたまで…」


 担当者が眼を泳がせ

「そ、そうですか…」


 担当者が困惑していると、ゼウスヘパイトスが

「貴殿の言う通り、議会で必要ないとされた場合は、速やかに私は去るが…妻が暮らす事に関しては認めて欲しい。まあ、それもムリなら…妻は故郷を捨てるしかないが…」


 担当者がゼウスヘパイトスを見つめて

「では…もし、必要ないとされた場合は…」


 ゼウスヘパイトスは怪しげな笑みで

「このトルクメニスタン共和国を裏から守る為に、隠れて世界中で暗躍する。無論、それで国が潰れようが…このトルクメニスタン共和国を守れるなら構わない。要するに世界で国を潰すような天災として活動するという事だ」


 担当者は閉口する。

 要するに、トルクメニスタン共和国に組み込まれないと、世界中を傍若無人に破壊するモンスターに、いや、破壊神になるという事だ。

 今の世界で、これに対抗できるのはゼウスヘパイトスを生み出したアレスジェネシス達でしかないが…。アレスジェネシス達も、自分達の国の維持以外に全く興味を示していない。アレスジェネシス達にゼウスヘパイトスを何とかして欲しいと救援を頼んでも、内政干渉はしないと、言われて放置される可能性が高い。


 担当者は肯き

「分かりました。ご意思の方は確認しましたので…」


 ゼウスヘパイトスは担当者に

「公正な選挙を頼むよ」


「ええ…勿論です。民主主義には、公正な選挙が当然ですから…」

と、担当者は去った。


 担当者が居なくなった部屋で、イリディアが

「この国に残れるのでしょうか?」


 ゼウスヘパイトスは優しくイリディアの肩に手を置いて

「そうだな…。ダメだったら…自分の故郷か、宇宙でもいいか?」


 イリディアは微笑み

「はい。その覚悟は出来ていますから…」


 ゼウスヘパイトスは微笑み、イリディアの頭を撫でて自分に寄せて

「ありがとう…」

と、感謝を告げた。



 ◇◆◇◆◇◆◇


 その頃、日本地区の東京にあるソラリス府の王の間では、アレスジェネシスがアインゴーレムの王座に座って、もの凄い勢いで感情を爆発させて叫んでいる男女を見ていた。

 この二人は、中国共産党の外交関係者だ。

 アレスジェネシスに猛抗議している。


 原因は、ゼウスヘパイトスの事だ。


 アレスジェネシスは、片肘を置いて、その置いた腕の一つの拳を頬に当て、退屈そうに聞いていた。

 とにかく、男女の中国共産党の外交関係者は、こっちの所為だ、何とかしろとか、感情が爆発させ続けて喋りまくり、アレスジェネシスは無反応というより、明日は…月の資源生産基地システムのテストだったなぁ…と無関係な事を思っていた。


 そして、二人が息切れして、男が

「とにかく、何とかしろ!」

 

 アレスジェネシスが鋭い三眼を向ける。

 う…と男が身を引かせる。巨大な殺気だ。それは、蟻が象を目の前にするレベルだ。

「終わったか…」

と、アレスジェネシスは淡々と呟き

「では、こちらの見解を伝える。我々は、一切、内政干渉をしない。以上」


 男が苛立ち

「我々が滅んでも構わないのですか!」

 叫んだその言葉にアレスジェネシスは冷血に


「そうだ。滅ぶのはキサマ等のやり方が悪いだけだ。何の責任も我々にはない。お前等、中国共産党が、国民を満足に幸せに出来ないから悪い。政治の世界では当たり前だ」


 男が感情を再燃させ

「一つの中国という事が」

 アレスジェネシスは苛立ち、左腕の一つを前に出して、デコピンのように空を弾くと空間波動攻撃が男の腹部にヒットして、男が浮き上がって転がる。


 それに同行していた女性が駆け付け

「ヒドい」


 アレスジェネシスは冷血な眼で

「では、言おう。キサマ等、中国共産党はバカしかいないのか? 一つの中国? そんなの妄想か幻の類いだ。中華という文化圏を国の枠組みと勘違いするな! 一つの中国というキサマ等、中国共産党が勘違いしている妄想を押し付けるな! いや、無知蒙昧だな。だから、何度でも言おう。国が、キサマ等、中国共産党が滅んでも、中国に生きる人々がいる限り問題はない。キサマ等、中国の歴史を見ればそうだろう。お前達、中国共産党が滅ぶのは、お前達自身の責任だ。お前達が、マトモに国を維持できないからこうなる。それだけの結論だ。国があるから人があるではない。人があるから国がある。順序を分かっていない」


 そこへネルフェシェルが来て

「おや…この方達は? 天帝」

 

 アレスジェネシスが王座から立ち上がり

「下らん泣き言をいう支配者という愚者だ」


「ああ…」とネルフェシェルは嘲笑い

「天帝、新しい資源採掘システムについて…お話しが…」


「分かった。無駄な時間を過ごしたな」

と、アレスジェネシスは、蹲る男の隣を通り過ぎながら

「いい加減に、民主主義を取り入れたらどうだ? 国民の審判がない統治ほど、虚しいモノはないぞ」


 蹲る男が

「貴方は、絶対者だ。無力な我々とは違う」


 アレスジェネシスは立ち止まり、男の肩を腕の一つで持ち持ち上げ睨む

「いいや、それは違う。私も、このソラリスも日本にいる国民に否定される可能性は、同じだ。

 キサマも人、我も人、故に平等だ。

 お前達が滅びるなら、同じように我々も滅びるのだ。

 ただ、その見極めがあるか、ないかだ」

 アレスジェネシスは、手を離して、男は尻餅を付いた。


 そして、アレスジェネシスはネルフェシェルと共にソラリスへ戻った。


 その後、この二人は、他の日本地区の政治関係者に抗議しようと動くも、行く先々で、ソラリスのアイオーン達が、関係者の隣にいた。

 鋭い目をアイオーン達は向けている。

 アイオーン達と天帝は通じている。ここで何を言っても無駄であり、先程と同じように吹き飛ばされる可能性が高い。

 二人は、顔を見せただけで帰っていくしかなかった。



 ◇◆◇◆◇◆◇


 ゼウスヘパイトスがトルクメニスタン共和国を建国して三日後。

 選挙にて議員が当選して400人の議会、トルクメニスタン共和国の国会が誕生した。

 その国会で最初に可決されたのが…ゼウスヘパイトスのシビリアンコントロールだった。

 こうして、ゼウスヘパイトスは、トルクメニスタン共和国の国防軍になり、国境防衛を担当する事になった。

 ゼウスヘパイトスが、国会で演説する。


「どうも、トルクメニスタン共和国の傘下に入り、良かったと思っている。

 入らなかったら、世界の裏に潜んで、この国に害を為す者達、組織や国を破壊する災厄になっていただろう。

 まず、私が約束するのは、国防を行い、侵略は行わない。

 どんなに議会で可決されようとも、他国へは…侵攻しない。

 そして、国内の国民に対して絶対に武力を向けない。

 故に、日本のように警察と密接に繋がる自衛隊という、人命救助の組織の発足をお願いする。

 それと…私には、このトルクメニスタン共和国出身の妻がいる。

 妻が平穏に暮らせるように、お願いしていただきたい。

 もし、妻に、家族に何かあった場合は、世界なぞ、どうでもいいとして、破壊の限りを尽くすかもしれない。

 では、新たなる国の門出を祝して!」


 その後、議会では、ゼウスヘパイトスにトルクメニスタン共和国の復興支援を担当させ、ゼウスヘパイトスは、SRフィランギル、ソラリスと同等の能力を持つシステムを使い、トルクメニスタン共和国にナノマシンエンジニア達を増やしたり、宇宙から隕石や月資源から物資を作りだし、復興へ当てた。


 そして、捕まった人民解放軍の内、過去にウィグル自治区で強姦、殺人と残虐事件を起こした兵士達をリストアップする。

 実は、ゼウスヘパイトスは、人間の脳内の活動をモニターして記憶を見る装置、ブレイン・メモリー・スキャンを完成させていて、それを使い人民解放軍の兵士達の脳内をスキャン、そういう事をした者達を探し出した。

 その人数200名、30万人中0.06%の人数だ。

 それ以外の99,04%の兵士達は、中国へ返した。100万円相当の金塊を、350グラムの金を持たせて。

 まあ、一応の…無用な報復を防ぐ処置でもある。

 因みにこの金は、宇宙資源から採掘したモノや、SRフィランギルにあるパーフェクトゼロ・リアクターを使って大量に生成した純金である。パーフェクトゼロ・リアクターは余剰能力として核融合を行える。それによって、様々な物質を生成出来るのだ。

 まあ、その核融合で発生したエネルギーも電力や、色んな事に使えるの一石二鳥ではあった。


 そして残虐行為を行った兵士達は、国連に引き渡そうとしたが、トルクメニスタン共和国議会が、自分達での処刑を望み、砂漠のど真ん中に立てた円錐型の総合刑務所へ入れた。処刑は、事態が落ち着いて後で…という事になった。多分、数年後だが、刑務所内で、死刑を待つ受刑者は、死の恐怖に怯え続けるだろう。


 因みに、ソラリス日本でも、太平洋沖に、同じ円錐の全長3キロの巨大総合刑務所がある。そこへ、日本にいる犯罪者の全てを収容した。

 因みに、最近では、死刑復活を望む声があるので、アレスジェネシスはどうするべきか?桜井総理といった女性与党とそれについて話し合っている。

 そして、ある提案が上がっている。

 死刑囚を、バイオチップ化するという方法だ。

 つまり、死刑囚を、ナノマシンと細胞初期化の薬品を使い、全ての細胞をES細胞化させるのだ。

 この利点とは?

 正直、様々な日用や一般的な事に関しての情報システムでは、生体を使った機械システムでは、損耗が激しい。

 ましてや耐久が必要な軍事的、災害、または、建築、工業という分野でも、必要性は乏しい。

 では、バイオチップの活用方法は、主に新薬や、新たな治療開発に生かされる。

 つまり、生体的な研究の活用だ。

 研究に使われたバイオチップは無論、焼却される。


 要するに、死刑囚をES細胞化させ、それを大きなプールの水槽で管理する肉塊に変えるのだ。

 人として記憶も何もかも消滅、生体としては生きている。人としては死ぬが、生体としては存命という、あやふやなグレーゾーンの処置なのだ。

 因みに、これはアレスジェネシスが来た別世界の地球では、2039年から世界中で始まった。

 唯一、ヨーロッパは認めない所もあったが…元来より死刑を適用していた国では爆発的に広まったのだ。


 この人としては死んで、肉塊にされる処置は、相当な恐怖を増大化させ、死刑になる前に、自殺する者のいた程だが、現在は、その自殺も防がれ、着々と行われる。

 グレーゾーンの処置の為に、やりやすいといった事態もあった。


 まあ、この頃の地球では、ゼウスヘパイトスのようなブレイン・メモリー・スキャンがあったので、えん罪は、相当に減ってはいるが…政治や権力的な影響の問題は、あるので問題にはなっている。因みにこのバイオチップ化処置の前に、ブレイン・ネットワーク・スキャンは必ずされるので、それで無罪である場合があったりする。


 どの時代でも死刑は問題が多い。だが、必要な事でもあるのか? ないのか?

 その議論は続いていくだろう。


 話を戻す。

 着実の新たなトルクメニスタン共和国に歩みは始まっている。

 そして、その国に残っている漢民族は…皆、中国共産党から脱退して、新たな国の国民としてウィグル族と共に暮らし始めた。

 元来的に、共存している人達が大多数だが、中国共産党の影響がある者もいる。

 そういう者達と、解放され国民としてなった者達との軋轢があったりして、警察が出る事態になる。

 無論、デモ活動もあるが…ここは、前の中国共産党の弾圧があった場所ではない。

 民主主義国家だ。権利が認められている。

 国の根幹ルールである憲法でも表現、言論、思想の自由がある。

 因みに宗教の自由もある。

 一時期、イスラム教以外、認めない感じになりそうだったが…。

 ゼウスヘパイトスがイスラム教徒ではないので…そうなると、出て行くしかなくなる。

 なので宗教の自由はある事になった。

 まあ、土着宗教とイスラム教が結び付いているので、日本の仏教のように根付いてはいる。



 因みに隣国である中国は、無茶苦茶、反発する。

 あの手この手を使って貶めようと…する計画が、アレスジェネシスから暴露、偶にゼウスヘパイトスが、中国の政府のネットワークをダウンさせ、検閲の金盾を破壊するので、週に何度か、自由なインターネットが中国にある。

 何とか防ごうと中国共産党は、色々とするも、中国国内には、アレスジェネシスがバラ撒いたネットワークディバイスが広がっているので、徒労に終わる。


 そして、中国国内で内乱が始まる。

 中国共産党の支配力が落ちて軍部の統制不備が始まり、何と、中国軍部が作った最新兵器、レーザー銃が民に横流しされる事態が発生する。

 そればかりではない。軍事の銃器も横流しされ始めた。

 それによってヒドい戦闘の暴動が頻発し始めた。


 中国共産党は、自分の面子の為に、それをひた隠しにするも、自由なインターネットの日に世界中に暴露される事態になる。



 そうして、2019年終わり、ゼウスヘパイトスは、山中 充で、日本の実家へ戻る。

 皆、家族は腕を組んで睨んでいる。

 山中 充は肩身が狭い。

 その左隣にはイリディアがいる。


 目の前には、東京から急いで駆け付けた弟のアキトがいる。

 弟アキトが

「なんで、バカな事をしたんだよ。お兄」


「すまん」としか充は言えない。


 イリディアが

「わたしが原因なんです。私達の国を救って欲しいと…」


 父親が項垂れ

「どうするつもりだ?」


 充は弟アキトを見て

「お前の東京にある会社を通じて、トルクメニスタンの産物の商いをしてくれないか?」


 弟アキトは渋い顔をして

「はぁ? それが何になるんだよ」


 充は顔を引き攣らせ

「その…外国との産物の取引があれば…戦争は起きにくいし、色んな利害関係があると…ね。がんじがらめになって問題も…起きにくいから…」


 母親がイリディアを見て

「その娘さんが、充のお嫁さんなんだよね」


「う、うん」と充は頷く


 母親が喜び

「まあ、いいわ。充が結婚してくれただけでも十分よ。ご両親は?」


 イリディアが悲しげな顔をする。充が

「いんだぞ。後で、自分が…」


 イリディアが首を横に振り

「いいの。両親や上の姉達はは中国の弾圧によって殺されて…。私と妹のライラは、何とか周囲に人達のお陰で逃れて、そして…彼に…」

と、充の手を握る。


 両親や弟は、ソラリスの力を授かったとしている充に頼るしかない現状を知り父親が

「分かった。不出来な息子だが…よろしくたのむよ。イリディアさん」


 イリディアは微笑み

「はい。よろしくお願いします」


 母親は嬉しそうに

「じゃあ、皆でお昼にしましょう!」


 そこへインターフォンが鳴って妹が、子供二人と旦那を伴ってきてくれた。

「お兄ちゃん。どういう事?」


 充は、妹達家族を前に苦い顔をして

「まあ、後で説明するよ。めいちゃん」


 母親が喜んだ顔を見せ

「ああ…めいちゃん。丁度よかった。お昼は?」


 妹のメイナは首を横に振り

「まだです」

 

 母親が手を合わせて

「じゃあ、みんなで食べましょう」


 そこにイリディアが顔を見せ

「こんにちは…」


 メイナがイリディアを見つめて

「お兄ちゃん。この人は?」


 充は、イリディアの肩を抱き

「自分の嫁さん。イリディアだ」


 イリディアはお辞儀して

「どうも…初めまして」


「ああ…」とメイナは自分より年下のイリディアに驚きを向けた。


 妹達を含めて大きな昼食になる時、充は強い気配を察して、玄関を開けると…空からアレスジェネシスが降り立つ。両脇には、レミエルとミカエルを伴って…。


 充はアレスジェネシスを見つめて

「何の用だ?」


 アレスジェネシスはニヤリと笑みを浮かべるその顔に、仮面がない。


 充は仮面が無い事に不信を抱き

「何故、顔を隠す仮面をしていない?」


 アレスジェネシスは淡々と

「もう、必要が無いのだよ」

 そう、もう、自分を隠す必要はないという事実を告げる。


 それで充は察した。つまり、計画した何かが先に進んだという事を…。


 充は腕を組み

「で、アンタ達はどうするつもりだ?」


 アレスジェネシスは不気味な笑みを浮かべたまま

「お前と同じだ。一週間後に国連の本部へ行く」


 つまり、国際社会の場へ立つというのだ。

 

 山中 充はトルクメニスタン共和国の代表と共に、ゼウスヘパイトスとして行く。

 別世界の未来から来た自分、アレスジェネシスは予てからの誘いによって行くのだ。


 国家の上に立つ存在、『統』という新たな存在であるアレスジェネシスとゼウスヘパイトスは、国の連合である国連の場へ向かう。

 そこで…何かの激震が起こるのは明白だ。

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