第13話 国民議会


 日本地区の国民投票にて国会議員が選別される、投票日まで…一週間半となった。

 アレスジェネシスは、投票で選ばれる候補者達を見る。

 結局の所、外国との繋がりを報道された候補者の数は200名にも及び辞退、900名近くいた候補者が700名になった。

 もし、国民議会の候補者が600名しかいなかったら。そのまま当選なのか?と尋ねられたが。そんなのは、選ばれた候補ではないので、成る訳がないと、一蹴した。


 つまり、それなりに人数が集まらないと始まらない。

 そのままソラリスの統治続行となる。

 因みに、今回で国民議会が発足されたら任期四年とされて、その任期後に再び選挙となって候補者が700名以上でないと、ソラリスの統治続行となる法律が作られた。


 因みに、立候補を辞退した200名の全てが元国会議員だった。

 まあ、当然といえば当然だ。

 国会議員となれば、多少なりとも外国との繋がりもある者達が多くなる。

 一番、繋がりが多かったのがアメリカで、次に中国、イギリス、フランス、ドイツと、トルコ、中東のドバイ、イラク。

 その繋がりは有り体に言えば普通といえば普通の連中だ。

 アメリカは日本を戦後占領した一番の影響がある国で、ソラリスが日本を征服する前まで、多くの日本の権利を有していた。

 所謂、在日米軍特権だ。

 航空に関する空路の優先的権利、海上に関する優先権利、国土に関する交通の優先権利、さらに、警察に干渉されない捜査に関する不干渉権利。

 そして、経済に関しての全ての情報を優先的に確保出来る権利。

 まさに、日本は、アメリカによって独立国として仕立て上げられた、属国だった。

 日本の特許に関してもアメリカには優先権があった。

 アメリカという経済だけの弱肉強食を生かす為に日本は使われていたのも事実であり、また…日本もそれを利用していたのも事実だ。


 日本がソラリスによって支配された後、一斉にそれに関するデータを日本中と世界中に開示。

 それによって日本とアメリカの間に溝が出来たのは言うまでもない。


 そして、中国に関してだが…特に…いや、技術に関しての盗作盗用、そして、中国が日本の資産や資源を狙っていた事までも世界中に暴露された。

 中国政府が批判を発表する間も無く、中国政府が、中国共産党が世界中に持っている中国資本の犯罪側と関係ある全てを暴露された。


 その所為で、国連では、中国の資産流入の中止を決議とか、世界中から犯罪に関して中国の資本が流れていると激怒が起こり、ソラリスにかまっている状態ではなかった。


 暴露したソラリスは、あ…そう…と暢気な反応である。



 現在…日本の国民議会の候補者700名の内、女性が350名、男性が350名

 それを日本にある、元皇居の上空に浮かぶ逆ピラミッドのソラリス府でアレスジェネシスは見て、右手の一つで顎を擦り

「なんか…良い感じに纏まったなぁ…」

 隣にいるラファエルが

「ええ…ソラリスのカバラ(十越高次元演算器)の予測によると…男性が320名、女性が280名の当選となる模様です」

 アレスジェネシスは大きな肩を竦め

「私は、女性が全て受かって350名、男性が250名の議会になると予想する」

 ラファエルがアレスジェネシスを見つめて

「それにどのような得があるのですか? 日本に生活する人々の性質を考えると…男性が60%、女性が40%の割合を好むと思いますが…」

 アレスジェネシスは父の笑みをラファエルに向け、娘であるラファエルは首を傾げる。

「ラファエル…我々、ソラリスの男女比はどうだ?」

 ラファエルは顔を渋くさせ

「男女比は、男性が4、女性が6です」

 アレスジェネシスは微笑みながら

「我々がその比率で上手く行っているなら…そうなるかもしれない」

 ラファエルは眉間を寄せ

「何ですか? 天帝…まさか…勘というヤツですか…?」

 アレスジェネシスは肯き

「そうだ。その方が男女が上手く行くと思っている」

 ラファエルは腕を組み

「地球の人類の男女比は、誤差数%だとしても半分の5:5です。ならば…政治や、組織を運営するなら男女比が世界と同じ半分の方が上手く行くはずです」

 アレスジェネシスは肯きながら

「確かに理論として考えればそうだ。だがな…これは私の経験だが…男は基本、バカがデフォだ」

 ラファエルは首を傾げ

「同じ人類であった天帝が、愚かとは全く思いません。我らアイオーンを創造し、十五万キロの巨大なメルカバー(天の星艦)であるソラリスまで作り、惑星までテラフォーミングするソラリスの全てでも…天帝の持つ力には及ばない。それ程の方が愚者とは思いません」

 アレスジェネシスは渋い顔をして

「それはなぁ…ある面では凄いが、私を別の視線から見ると愚か者に見えるだぞ」

 ラファエルは頭を振り

「理解出来ません」

 アレスジェネシスは左手の一つを上下させラファエルをなだめながら

「まあまあ、これは私の経験からの話だ。男はバカだ。故に…凄い事も生み出せる。その振り幅の大きさ故にだ。だからこそ…現実を見て咎めてくれる者が必要なのだ。それは女性にしか出来ない。バカは一人の説得では止まらない。二人以上の説得が必要だ。故にバカ=男一人に対して、現実=女性の二人が必要なんだ」

 ラファエルは腕を組み首を傾げて納得しない顔である。

 アレスジェネシスはちょっと引き攣り顔で

「お前達、レーナ(女性型)アイオーン達だって、私に諫言する時は、多くのレーナアイオーン達と共に来て、私を止めてくれるだろう…」

 ラファエルは豊満な胸部を上げるように腕を組み

「天帝は、巨大な体をお持ちなので、多数の人数で来ないと平等ではありません」

 アレスジェネシスは渋い顔をして

「ラグエルやレミエルのようなトーム(男性型)アイオーンは、諫める時は、一人出来るぞ…。それが、レーナ(女性型)とトーム(男性型)との違いだ」

 ラファエルは納得しない顔で

「それは、天帝が男性で、同じ男性、トームであるから距離が近いからでしょう!」

「ああ…う…」

と、アレスジェネシスは娘(アイオーン)に攻められ言葉が詰まる。

 それは、父親に怒る娘で、それを黙って聞いて頷き小さくなる父親のようだ。

 ラファエルは父である天帝を凝視して

「では、天帝は、他の男共のように…女の色香に惑わされるのですか?」

「え?」

と、アレスジェネシスは、何で?という顔になる。

 ラファエルは続ける。

「男が女性に勝てないのは、男が女の色香に弱いからであって、天帝も同じ男なら色香に惑わされるのでしょう?」

 アレスジェネシスは自分の若い頃を思い返す。


 確かに…性に目覚めた十代後半から二十代後半まで…サルのように発情していたような…。

 いや…五十近くになるまで…彼女…女がいなかったしなぁ…。

 四十代で原子サイズナノマシン加工機。アーベルナノマシン加工機を作って中東のドバイやインドで広めて、多くの人達と関わったけど…。

 全然、女が…寄りつかなかったしなぁ…。

 その前に、もう…三十代後半で彼女いないし、結婚出来ないから…。

 一生、女や酒、タバコ、賭け事、享楽と関わるのを止めよう思ったし…。

 つうか…その戒律のような厳しさが何故か…身に合っていたし…。


 五十代で、アメリカのCIA繋がりの知り合いの女と結婚して女の子が産まれて喜んだら。

 五年後に…突然の離婚を迫られ、裁判になって、アメリカのイエローストーンのマグマ資源を利用した巨大工場と工場地帯街が取られて、産まれた娘の後々の自分の遺産を相続を確保する為にDNA鑑定したら…自分の子供じゃあなくて、他人の子だったしなぁ…。

 弟のアキトが言っていたよなぁ…兄貴と似てないって…。

 それが当たって、泥沼だったし…。

 因みに、寝取られて出来た女の子の父親が、その当時のアメリカ大統領だったしなぁ…。

 その大統領の事…信じてたんだよねぇ…。


 女関係、全くの壊滅だったしなぁ…。


 アレスジェネシスは思い出しの思考して凹んで項垂れていると、ガブリエルが来て

「何を話しているの?」

 ラファエルが

「ああ…ガブリエル…実は…」

と、ガブリエルに説明するとガブリエルが肯き

「ねぇ…ラファエル、貴女も天帝の言う事もどちらも正しいわ。だから、こういう場合は…長く現実を見て見極めた方がいいわ。両方の考えをもってニュートラルに考えた方がいいのよ。何せ私達アイオーンは、人類が百年生きるとしたら、その数十倍も生きる事が出来るのよ。それはもう…人類がローマ帝国を作った時代から、この現代を見れる程にね」

 ラファエルは納得して

「分かった。もうすこし長いスパンで見るわ。千年くらいで…」

 ガブリエルが

「だ、そうです…天帝…」

 アレスジェネシスはブツブツと独り言で「でも…あの時は、いや…やっぱり、オレは女を寝取られる…。やっぱり、金だけが目当てだったよなぁ…」と呟いている。


 ガブリエルが飛翔して、天帝の右に浮かび独り言の世界から戻す為に、天帝の右肩に手を置く

「天帝、しっかりしてください」

「は!」

と、アレスジェネシスは独り言の世界から帰ってくる。

「ああ…すまん」

 ガブリエルは、ふ…と溜息を漏らして

「天帝、ちょっとリフレッシュした方がよろしいのでは?」

 アレスジェネシスは渋い顔をして

「リフレッシュか…」

 ガブリエルは、両手を合わせ

「天帝が、日本に初降臨した際に、街頭にいた愛香という女の子がいる幼稚園に遊びに行ってはどうでしょう?」

 アレスジェネシスは顔を明るくさせ

「いいのか? だが…この巨体では…」

 ガブリエルが微笑み

「大丈夫です。私達の方でも連絡しますし。それに天帝に対するイメージアップになりますよ」

 ラファエルも「私も同意します」と賛同し

「天帝は、中国の一件以来、恐ろしい人物であると広まっています。この辺りで優しい一面があると、知らしめれば効果があるはずです」

 アレスジェネシスは笑みと固い顔を交互にさせ

「そうか…なら…行こう…。用意してくれ…」

「はい…」

と、ガブリエルは微笑んだ。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 愛香は、幼稚園で同じ園児達に言っていた。

「あの、大きなおじちゃんがくれた羽があるんだよ」

 それを聞いた園児達は、ウソだー。お父さんが言っていたモン。怖い人だって

 誰も信用してくれない。

 まあ、当然と言えば当然だ。


 愛香は家であるマンションに帰り

「お母さん。あのキレイな羽、貸して」

 母親は首を横に振って

「ダメよ。アレは…母さんと愛香との秘密でしょう」

 愛香が

「みんなに見せたいの…」

 母親は困り顔で

「もっと後になったら、見せようね」


 愛香は布団に入って思った。

「ウソなんて言ってないもん」


 翌日、早朝の時間に愛香が通う幼稚園に電話が入る。

 受け取った保育士が

「はぁ? ソラリスの方から…? え…」

 保育士が、園長に電話を渡すと

「ええ…本当ですか?」

 園長は困惑するも

「はぁ…構いませんが…」

と、了承した。

 電話を切った園長に保育士達の視線が向けられる。

「大丈夫なんでしょうか…?」

 園長は

「一応は、責任はそっちで持つと言っていましたし…。今の日本を支配しているのはソラリスです。逆らえませんよ」




 愛香が来て、園児達が集まり保育士と一緒に部屋で、歌を歌っていると…。

 女性型のレーナアイオーンの三人に囲まれて、天帝アレスジェネシスが幼稚園のグランドに着地する。

 それに園児達が気付き「わーーーーーーー」とドア窓に殺到する。

 アレスジェネシスが園児がいる建物に近付くと、保育士がドア窓を開けて、園児達が一斉にアレスジェネシスに駆け付ける。

 みんな、珍しげにアレスジェネシスを見つめて、ちょっと離れた距離になる。

 そこへ愛香が来て

「おじちゃん!」

「おおお…」

と、アレスジェネシスは跪き、愛香に巨大な三対ある機械の腕の一つを向けて、それに愛香が乗ると

「久しぶりだなぁ…愛香ちゃん」

と、アレスジェネシスは仮面に隠れる顔の目を笑み細める。

 園児の一人が

「愛香ちゃんの知り合いなの?」

 アレスジェネシスは肯き

「そうだよ。初めてここで友達になってくれたんだよ」

 愛香は嬉しそうに笑むと、その頭を優しく大きな左手の一差し指で撫でる。

 園児が

「愛香ちゃんの言っていたの、本当だったんだーーーー」

 保育士がそれに一応の安心を得て

「みんな、今日は、ソラリスより天帝アレスジェネシスさんが遊びに来てくれました。みんな、遊んであげてね」

『はーーい』

と、元気よく答えてくれた。


 保育士がアレスジェネシスと共に来たレーナアイオーンの一人に

「良いんですか?」

 そのレーナアイオーンは微笑み

「ええ、問題ありません。寧ろ…ここ最近、ストレスが天帝に掛かっていたので…こうして、子供達と遊ばせて、ストレス発散になるので…」

「はぁ…」

と、保育士が驚きを向けた。


 その後、アレスジェネシスが子供達の遊具のような扱いとなり、遊ばれる。

 幼子を二人も乗せられる巨大な三対もある機械の腕を使い、お手製のメリーゴーランドをしたり、スラスターのような脚部で座りたいとして、子供達が集まりおしくら饅頭となる。

「こらこら、人数を考えなさいな」

と、アレスジェネシスは優しく、子供達を扱う。

 更に、子供達はクレヨンで、アレスジェネシスの金属質の装甲に落書きをしたりする。

「止めなさい」

と、保育士が止めるが、アレスジェネシスは平然と

「良いですよ。子供が落書きして楽しんでくれるなら、嬉しいですし。こんな素っ気ない体に色を加えてくれる」

 アレスジェネシスは大らかで、子供達の為すがままになる。


 保育士達は、良いのかなぁ…と困惑しているが…当の本人は


 いやーーー こんなデウスマギウスの巨体になって不便があったけど、こうして子供達が遊んでくれるなら、成った甲斐があったなぁ…。

 園児達が思いっきり遊んでくれるので嬉しかった。


 アレスジェネシスの肩には愛香と園児達が乗っていて、愛香が

「ねぇ…おじちゃんの顔ってその白いのなの?」

 アレスジェネシスは首を横に振って

「いいや、これは被っているだけだよ」

 愛香が無邪気に

「とっていい?」

「いいよ」

と、アレスジェネシスは愛香に向けると、愛香が仮面を手にすると簡単に取れた。

 愛香が触れるとロックが外れるようにしていた。

 そこには、人の顔があった。

 アレスジェネシスの微笑む人の顔がある。

 アレスジェネシスの頭部は、金色のパイプが後頭部に多く繋がり、その造形はV字型のアンテナを持つロボットの様相である。

 そのロボットの頭部から人の顔が出て、愛香は見つめる。

「怖いかい?」

と、アレスジェネシスは尋ねる。

 愛香は首を横に振り

「んん。ぜんぜん」

「ありがとう」

と、アレスジェネシスは微笑む。


 その後も園児達を戯れたアレスジェネシスは、園児達を迎えに保護者が来ると、保護者達は驚きを持ってアレスジェネシスを見上げた。

 園児達を三対ある腕や肩に乗せ、そして巨大な多翼をお盆にして園児達が乗る、園児達の遊び道具にされているアレスジェネシスを、保護者はスマホで激写しまくった。

 そして、園児達が翡翠色の羽を欲しがると、あげれるだけ多翼から引き抜かせてあげた。

 愛香を肩に乗せ、愛香の母親の元へ来るアレスジェネシス

「どうも…お久しぶりです」

「ああ…どうも」

と、母親とアレスジェネシスはお互いに頭を下げる。

 アレスジェネシスは、母親に愛香を渡し

「どうですか? 私の所為で…何か不便な事に…」

 母親は戸惑いつつ

「ええ…大丈夫ですから」

「そうですか…」

と、アレスジェネシスはホッとする。

 愛香が母親が乗ってきた小型電動四輪バイクの後ろの子供席に乗って

「バイバイ、またね。おじちゃん」

と、手を振り、アレスジェネシスも手を振り

「ああ…またな」

 母親はお辞儀して

「では…」

と、小型電動四輪バイクを動かそうとすると、アレスジェネシスが

「何時でもソラリス府へ遊びに来てください。来て、受付さえすれば何時でも自由に入れますので…」

 愛香が

「ねぇ。ママ、おじちゃんの所に遊びに行きたい…」

 母親は

「またね。何時か行きましょうね」

 アレスジェネシスが

「何時でも待っているよ。愛香ちゃん」

と、仮面を取って人の顔を見せて微笑んだ。

 愛香はうれしそうな顔をして

「うん! またね。おじちゃん!」

 

 愛香は母親と共に帰って行き、その背にアレスジェネシスは手を振り続けた。



 その夜、帰って来た夫を迎えた愛香の母親

「なんだって? ソラリスの天帝が!」

 愛香の父親は、東城 秀一だった。

 愛香の名字は東城である。

 妻、紗依里は困惑を見せ

「ええ、愛香の話だと、園児達と過ごしたそうよ…」

 夫の秀一は微妙な顔をして

「あの天帝が…」

 秀一の持っているアレスジェネシスのイメージは、威圧的で思考が早く合理的な人を越えた機械、それしかない。

 実際、アレスジェネシスが秀一達、元政府関係者に見せている面は、そこである。


 愛香が嬉しそうにアレスジェネシスから貰った翡翠の羽を掲げて

「パパ、見て。また、あのおじちゃんからもらったーーー」

 秀一は愛香を抱え

「そうか…良かったなぁ…」

 愛香が楽しげに

「あのね。大きなおじちゃんの顔に被さっているの、愛香がとってね。お顔を見せてくれたよ」

 秀一は驚きを見せた後

「どんな顔だった?」

「んん…」

と、愛香は首を傾げ

「パパのおじいちゃんみたいに、おじいちゃんだった!」

 秀一は困惑を隠しつつ

「そうか…」

と、娘に微笑む。

 内心では、人の顔がある…のか…と、驚愕している。

 そのまま、秀一は愛香を抱えてリビングに行くと、愛香が父親の胸ポケットにあるスマホを手にして遊ぶ

「まだ、愛香には早いぞ」

と、愛香をソファーに下ろして、スマホを取ると、指紋ロックに触れて解除してしまった。

 そして、偶然にも写真のフォトをタッチした愛香が

「ああーーーー この人だー」

 秀一が取り上げようとした手を止め

「愛香…どうしたんだ? 誰か…」

 愛香が、秀一のスマホにあるフォトの一覧から、とある人物を指差す。

「大きなおじちゃんと、にてるよ! この人」

 愛香が指差す人物の横顔の写真。

 秀一はそれを見て顔が驚愕に染まる。

 そう、愛香が指差す写真の人物、それは…前に訪れた山中 充だった。

 秀一はその写真をタッチして表示させ

「本当にか? 愛香?」

 愛香は肯き

「うん。大きなおじちゃんみたいに、おじいちゃんみたいなシワがないけど、この人、大きなおじちゃんとソックリだよ」

と、娘は微笑んだ。

 秀一は驚きで口元を押させて

「天帝、アレスジェネシスと…彼が似ている…」

 その事実になぜが、言い知れぬ悪寒を感じた。

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