第10話 牙を剥く


 東城は、ヘパイトスの家に来ていた。

 山奥の農村、そこに暮らすヘパイトスに挨拶して何とか…家に上げて貰った。

 自宅の客間に座る東城にヘパイトス、山中はお茶を持って来る。

「ええ…総理の秘書だっけ?」

と、座る東城の前にお茶を置き、東城の前に座る。

 東城はお茶を貰いながら

「まあ…ソラリスに日本を取られてね…元だけど…」

 山中は東城を見つめ

「今は…何をしているのですか?」

 東城は微妙な顔で

「元…総理の下で…来月、11月にある国民議会の議員に関する仕事をしているよ」

 山中が

「立候補するんですか?」

 東城は首を横に振り

「私じゃあない。阿部元総理と、その元自民党議員達が立候補する」

 山中は腕を組み首を傾げ

「立候補出来るんですか? ソラリスが行った国民投票で、数億の資産を持つ人は立候補出来ないと…」

 東城はフッと笑み

「政治家だからと言って。大金持ちではないさ」

「はぁ…ん」

と、山中は頷く。

 東城が躊躇い気味に

「それより…話してくれるか? 君がソラリスで受けた事を…」

 山中 充は頭を掻いて

「別に、何かの装置の適正があったので、働いているだけですよ。週に一・二度ね」

 東城が怪しむ顔をして

「本当に? それだけ…?」

 山中 充は目を細め

「ええ…それだけです」

 東城は山中を見つめ

「ウソを言っているのでは?」

 山中は苛立ち

「なんで、そう思うんですか?」

 東城は下を見つつ

「私は、ソラリスの力を間近にしてね。彼らの力なら…この世界全てを征服するなんて容易いと思っている。それなのに…彼らはこの日本を手にして、それで良しとしている」

 東城は見上げるように山中を見つめ

「何らかの理由がある…と私は思っている。その理由を…君は知っているんじゃないのか?」

 山中は僅かに顔を硬くした後、肩を竦め

「そんな簡単に、自分にそれを話すと思いますか? 自分は、ソラリスにとってサンプル的な扱いでしょう。まあ、キッチリ給料は…凄く良いくらいくれるし、結構…健康管理なんか福利厚生はしっかりと受けていますが…」

 東城は僅かに動きを止めた次に、腕を組み

「そうか…サンプルねぇ…。確かに異星から来た連中には、自分達の何かと適合するサンプルの調査が欲しいかもな…」

 フッと僅かだけ山中の硬さ消えたのを東城は見逃さない。


 東城は感じる。

 知っている…彼は…ソラリスが、なぜ、日本を支配した程度で済んでいるかを。

 そして、ソラリスの目的…を分かっている。


 このまま、直球に聞いても硬くなり話さないだろう。

 いいや、彼は上手くそれらしいウソを吐いて紛らわせる。

 それだけの胆力を彼から感じる。


「じゃあ、君は…何をソラリスでやっているんだ?」

と、東城が尋ねる。

 山中は天井を見上げて

「色々とですよ。ソラリスが持っている技術の勉強や、その適合性を調べるテストとか…偶に、ソラリスのシステムで、製品を作ったりしますね」

「どんな? 具体的には?」

と、東城はツッコむと、山中が不快な顔で

「その…オレの胸部には、ソラリスに通じるシステムが組み込まれています。この会話もソラリスに筒抜けですから…。それを言うと…」

 東城はハッとして

「ああ…そうか。分かった。すまなかったよ」

 山中が

「あの…11月にある選挙で国民議会が発足されたら、当選した議員達は何をやるんですか?」

 東城が眉間を寄せて

「現在、日本…いや、ソラリスの日本地区以外にある元日本大使館は、機能していない。ソラリスに日本地区が入った後、ソラリスのアイオーン達が、海外にいる日本人達の全てに認証のナノマシンを投与し、ソラリスの直通の端末を貰っている。もし…問題があれば…ソラリスの者が、あっという間に駆け付ける事になっている」

 山中が

「じゃあ、大使館、要らないじゃあないですか」

 東城は首を横に振り

「それはダメだ。大使館はその国との窓口をしている。大使館の復活と、諸外国との話し合いを始めるよ。新たな国としてのね」

 山中は顎に手を置き

「へぇ…宇宙から来た存在に吸収されたのに、やる事は地道なんですね。大使館が必要なら端末サーバーだけ置いて、それで他国と話し合うでも、十分じゃあないですか?」

 東城はフッと笑み

「君はソラリスと同じ事を言うね」

 山中は肩を竦め

「一応、ソラリスに務めていますから」

 東城は

「まだ…世の中には、アナログな、人と人が顔を合わせるだけの会話でしか信用しない人が多いからね」

 山中は皮肉な顔をして

「どうせ…大使館なんて、座している国の文句を聞くだけの、愚痴り場でしょう」

 東城は顔を引き攣らせ

「それは…韓国や、中国のような国だけで…他の国は友好の証として置いてくれているから」

 山中は首を傾げ

「この日本地区ある他国の大使館は?」

 東城は渋い顔をして

「ロシア、中国、韓国、北朝鮮、アメリカの五つの大使館は、ソラリスによって完全撤収された。在日米軍が撤退した事で、諸外国の大使館を守る力がなくなったからね。正直、国連からも脱退というか…ソラリスが手にしてからは別の国になったし…。それ以外の大使館は何とか我々が嘆願して留めて貰ってはいるが…。今回の国民議会で我々の多くが議員にならないと…撤収されるかもしれない」

 山中はフッと笑み

「北朝鮮に大使館なんてあったんですね」

 東城が

「実質、朝鮮総連がそれを担っていた。まあ、今回のソラリスの事によって、有無も言わさずに撤収された。関係者全員、北朝鮮に帰されたよ」

 山中がふ…んと肯き

「そんなに簡単に撤収に応じてくれたんですね…」

 東城が苦しい笑みで

「そんな訳ないだろう。バリケードを張ったりして抵抗したが…建物の隠れていても見えない力で弾き飛ばされて気絶、意識がない間に、北朝鮮に置いてきたらしい」

 山中は微妙な笑みをして

「ああ…なんというか…ですね。そんな事があったら報道する筈では? ああ…ソラリスが取ったから情報統制を…」

 東城は首を横に振り

「ソラリスは情報統制なんてしていない。マスコミが勝手にソラリスに対して優位になる報道を始めている。ソラリスは、その辺りをまるで意に介していない」

 山中は皮肉な顔を再びして

「なんですか? 結局、マスコミは権力に屈する畜生なんですね」

 東城は苦しそうな顔をして

「長いものには巻かれろ。言い返さない弱者は徹底的に叩け。韓国にある溺れる犬は棒で殴り叩いて殺せ。それがマスコミの処世術だ」

 山中は右手にある窓にある山の風景を見て

「何が、権力の監視機関だ。公正な報道システムだ。クソですね」

 東城が

「この世には、公平や公正なんてモノはない。そんなモノは立場や立ち位置で自在に変わる」

 山中は鋭い目をして

「絶対の正義は絶対の悪であり、絶対の悪は絶対の正義になり得る。そんなモンですよ。人間なんて」

 山中から溢れる鬼迫に、東城は驚きを見せる。

 それはある人物と同じだ。ソラリスの支配者、アレスジェネシスと同じ鬼迫と目線を山中 充に感じる。

 東城が戸惑いつつ

「まるで、ソラリスの支配者、アレスジェネシスみたいだね」

 山中の眉間が僅かに寄ったが戻り、笑みになり

「これでも結構…影響されやすい性格なんでね。ソラリスの考えに染まっているのかもしれませんね」

 東城は、それを不快による反応だと…して

「そうか、分かった。色々と聞いて済まなかった。もし、この事で何か君に、悪い事になったら、私の所為にしてくれ」

 山中は肩を竦め

「大丈夫だと思いますよ」


 東城は山中の家から去って行った。

 運転する車内で東城は

「まだまだ、真実には辿り着けないなぁ…」


 山中 充…ヘパイトスは遠くなる東城の車を見送っていると、その背に空からアイオーンのソフィニアが来た。

 ヘパイトスは振り向き

「オレを捕まえに来たのか?」

 ソフィニアは微笑み

「問題ありません。貴方は適正に対処した。それを言いに来たと、貴方の様子の確認です。メンタルケアも私の使命なので…」

 ヘパイトスが

「何にもメンタルのダメージは受けてないぞ」

 ソフィニアは肯き

「そのようですね」

 ヘパイトスとソフィニアの微笑む顔を見つめ

「今日は用事がないんだろう。御苦労さん」

 ソフィニアは

「そうなのですが…どうやら、貴方の観察をしないといけないので…今日はいます」

「はぁ…」とヘパイトスは溜息を漏らした。




 ◇◆◇◆◇◆


 日本、北西沖、中国側の日本領海へ一隻の潜水艦が無断で日本の領海に入る。

 その潜水艦は中国だった。


 ソラリスの下部にある、ニュートリノレーダーがそれを捉えていた。


 ソラリスの王座の間で、アレスジェネシスは足下にその領海を空から映した映像の床を見て

「ほう…無断侵入かね」

 その隣にサラカエルが来て

「如何しましょう。撃沈か…捕縛か…」

 アレスジェネシスが

「自衛隊には?」

 サラカエルが肯き

「もう…通達済みです。2時間後には海洋統合戦艦アルゴート級の艦が三隻、到着するそうです」

 アレスジェネシスが

「我々が放ったシーオートボットは?」


 シーオートボット、ソラリスが作った魚型の無人兵器達の事だ。


 サラカエルが手を振ると、進入して来た中国の潜水艦の周囲には、無数のシーオートボット達が囲んでいた。

「このように…包囲しております」

 アレスジェネシスは顎を擦りながら

「もう少し、様子を見る。海の中では、国民に領海を侵犯する存在を示せないからなぁ…」

 サラカエルが

「恐らく、かなり、日本地区の陸地に近付く筈です。これは、中国が良く使う手で、脅しによって自分達の国へ、統治者を招きたい。駄々っ子のような愚者の戦術です」

 アレスジェネシスはフッと皮肉に笑み

「所詮、中国は、オレがお前を支配するに値すると見栄と面子でしか政治が行えない。まさに石器時代的な政治システムだ。いいや…政治思想だな」

 サラカエルが

「仕方ない事です。彼ら中国の政治は、数千年に渡ってそれが是とされて来ましたので…」

 アレスジェネシスは、ハァ…と呆れた溜息を漏らして

「サル山の大将につき合うのも疲れる」

 サラカエルが

「では、撃沈ではなく…航行不能にさせて、回収しますか?」

 アレスジェネシスが

「もう少し、陸地に近付いてからにしろ」

「は!」とサラカエルが頷く。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆


 中国の潜水艦が、陸地十数キロに到達する。

 その頃には、自衛隊の海洋統合戦艦アルゴート級が三隻、その潜水艦の脇に数百メートルの間隔を取って併走していた。


 海洋統合戦艦アルゴート級。イージス艦のように優れたレーダー性能とミサイル性能を持ち、海洋を150ノットで航行、潜水艦のように海中に潜れて深度6000mまで余裕で耐えられる。

 イージス艦と潜水艦をドッキングさせたような海での万能艦である。

 動力源は、超伝導を利用した電力パルス増幅システムで、その出力は200MW、核分裂原子炉二基分の出力がある。

 増幅用電力は、核融合の残り香で産まれる超重粒子を封入したハイパーマテリアル・リアクターなので、その超重粒子が放つエネルギーが終わるまで動き続けられる。

 まあ、5年程度で、リアクターの超重粒子は、普通の安定した物質、重金属の集合体になってしまう。


 そのアルゴート級戦艦が中国の潜水艦と距離を取って様子を見ている。

 特殊な全方位型CICで艦長は、部下と共に様子を伺い

「艦長、どのように…なさいますか?」

 艦長は

「とにかく、このまま併走する」

 部下が

「もし…何か怪しい動きをしたら…」

 艦長が

「我々は自衛隊だ。戦う事が目的ではない」



 中国の潜水艦は陸地から十数キロの間隔を保ってゆっくりと静かに航行を続ける。


 それをソラリスの王座の床が映像として映し、それを踏み締めているアレスジェネシスが隣にいるサラカエルに

「良し、シーオートボット達を動かせ。推進用のプロペラと、キャタピラーを破壊、推進偏向翼も潰して置け」

 サラカエルが頭を下げ

「畏まりました」

 

 サラカエルが右手を回すと、操作する立体映像スティックが出て、中国の潜水艦の周囲に待機しているシーオートボット達を動かす。


 イルカ型や、シャチ型のシーオートボット達は、全身を超震動に包み、中国の潜水艦の後尾にある推進プロペラと、船体の脇に開いている無音推進キャタピラーの推進口を、身に纏う超震動で破壊。

 更に動きを制御する推進偏向翼も潰した。


 中国の潜水艦は突如、動かなくなった自艦に戸惑い。

 全く航行不能になると、膨大な数のアクティブソナー音が船体を叩き、混乱の渦中になる。その膨大なアクティブソナー音によって、潜水艦のソナーまで破壊され、潜水艦は水中を探る耳と、推進の脚を奪われて完全な鉄クズになった。


 因みに無数のアクティブソナー音を発したのは、シーオートボット達だ。

 シーオートボット達には、小型のニュートリノレーダーがあるので、全く音波探知に左右されずに海中を真昼のように見られる。

 要するに、潜水艦のソナーを破壊するだけに、ソナーシステムが備わっているだけだ。


 領海に入った中国の潜水艦は、やむを得ず海洋に浮上して緊急信号を放つ。

 それによって、自衛隊のアルゴート級戦艦達が浮上して、中国の潜水艦の救護へ向かう。



 ◇◆◇◆◇


 とあるニュースが流れる

「昨日、中国の潜水艦が航行不能となり、自衛隊が駆け付けて救援を行った模様です」

と、ニュースのキャスターが告げる画面を、ヘパイトスは鋭い目で見つめる。

 ヘパイトスは…「まさか…」とアレスジェネシス達がやった事を察する。


 中国の潜水艦は、アルゴート級戦艦に牽引されて中国の領海に戻ると、そこに待機していた中国の艦達へ、引き渡す。

 そして、高速で海洋を日本へ戻るアルゴート級戦艦を中国の艦の乗員は見て

「あんな、魚雷より速い戦艦に勝てるのかよ…」

と、告げた。


 大きな事にはならなかった。


 潜水艦の整備不良による急速浮上で、助けただけ…。

 実質、海中には様々な潜水艦が潜って蠢いている。

 それはロシアも同じだった。

 ロシアの潜水艦も、日本の陸地十数キロで突如、航行不能になり自衛隊のアルゴート級戦艦によってロシアに戻された。


 アメリカは…事態を知っていた。

 ホワイトハウスで、ドランド大統領に、テッドが説明をしていた。

「大統領、どうやら、日本の海には無数の無人兵器達が泳いでいるようです」

 アメリカは、太平洋や日本海のありとあらゆるポイントに海中マイクを仕込んでいる。

 その海中マイクのデータによって、中国とロシアの潜水艦が、なんらかの魚型の無人兵器に襲われて航行不能になったと…結論を得ていた。

 

 ドランドが額を抱え

「信じられん。本当なのか?」

 テッドは肯き

「彼らの技術力と力をもってすれば…糸も簡単でしょう」

 ドランド大統領が

「ただの事故と…」

 テッドは大統領がいるテーブルに両手を置き身を乗り出して

「表向きはです。海中では、明確な脅威として認識が出来ない。だから…ソラリスは、事故にして処理しているのです」

 ドランド大統領が

「領海侵犯をするなら…我々も、ロシアや中国と同じく、ソラリスからの電力供給を受けている。それを切ればいいだろう。十分なダメージになるはずだ」

 そこへ、ドアがノックされ、テッドの同僚、女性情報官のイヴァンが来て

「大統領。日本の友人、東城から話を聞きました。ソラリスは、無断で侵入している潜水艦達を、航行不能にしていると認めたそうです」

 ドランド大統領が渋い顔をして

「なら、それを正直に発表した方が、国民を味方につけられるぞ」

 テッドが背筋を伸ばし

「それでは、明確なパフォーマンスになりません。海中では見えない事が多い。おそらく、空中で、領空侵犯があった時、彼ら…ソラリスは大きな動きをします」



 ◇◆◇◆◇◆


 ソラリスの王座、アレスジェネシスは王座に座りながら7人のセラフィム、アークエンジェル達を前に

「さて…これ程、潜水艦ではダメにされるのだから…きっと、今度は明確な事をしてくるだろう」

 アレスジェネシスの右側から

 女性型のミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルが並び。

 左側から、レミエル、サラカエル、ラグエルが並んでいる。

 ミカエルが

「恐らく、中国の次の動きは戦闘機にての領空侵犯でしょう」

 ラファエルが

「その前にダメージを与えますか?」

 アレスジェネシスがフッと怪しい笑みで

「ロシアの方は?」

 ガブリエルが

「全く、反応がありません。前回の自国の潜水艦航行不能から様子見です。予測通りです」

 レミエルが

「もし、領空侵犯したら一気に中国を叩きますか?」

 アレスジェネシスが

「ダメだ。他の国を取るつもりはない。というか…中国なんぞ取るに値しない。意味がない。メリットもない」

 ラグエルが

「では…戦力を削ぐという事で…」

 アレスジェネシスは肯き

「そうだ。セフィロス!」

と、セフィロスを呼び。

『はい、天帝』

と、セフィロスは、アレスジェネシスの右隣に投影される。

「中国の戦力は?」

『ソラリスの探知と、ネットワークのハッキングによって、航空戦力が1500機、艦隊戦力が390艦。陸戦戦力が30万程度…』

 アレスジェネシスは右の頬を釣り上げ、残酷な笑みを浮かべ

「外に出る戦力を潰してやろう。航空戦力と艦隊戦力を破壊する」

 ラファエルが

「中国にいる国民の保護は何時に?」

 アレスジェネシスは腹部に腕の一つを組んで置き遠くを見るように

「領空侵犯がなされた直後に、回収せよ」

 サラカエルが

「事前に通達しますか?」

 アレスジェネシスは肯き

「勿論だ」

 ウリエルが

「あの~それだと~動きがバレちゃいますが~」

 アレスジェネシスは皮肉な笑みをして

「バレる事は無い。言う者もいるだろうが…。面子と見栄でしか成り立たない連中だ。絶対に無視する。それが虚栄でしか生きられない愚か者だからだ」

 ラグエルが頭を下げ

「では、自分が中国にいる国民の15万人の回収を行います」

 そこへネルフェシェルが来て

「遅れて申し訳ない」

 アレスジェネシスがネルフェシェルに

「ヘパイトスの教育に手間取っているのか?」

 ネルフェシェルが首を横に振り

「いいえ、寧ろ、吸収力が高すぎて自分が振り回されています」

 ネルフェシェルがラグエルの隣に来て

「内容は通信で聞いていました。ラグエルルの在中の国民の回収に私も同行させてください」

 アレスジェネシスは肯き

「そうだな。無用な抵抗をされては困るだろうし…。もし、帰国を拒んだ際の、監視と非常防衛のナノマシンを潜ませるのも必要だろう。よし、ラグエルとネルフェシェルで在中の国民の回収をせよ」

『は!』とラグエルとネルフェシェルは右手を胸に当て敬礼する。

 アレスジェネシスは続ける。

「領空侵犯した際、中国への護衛としてサラカエル、レミエルで、中国の航空、艦隊、戦力の殲滅の為のメルカバーはミカエル、ガブリエル、ラファエルが…」

『は!』とサラカエル、レミエル、ミカエル、ガブリエル、ラファエルは敬礼する。

 アレスジェネシスが最後に

「では、ウリエルは、この計画の最中の間…ヘパイトスの監視をしろ」

 ウリエルが『はあ~い』と敬礼する。

 アレスジェネシスは怪しげな笑みを浮かべて

「さて…どう面白く動いてくれるかな…」

と、心待ちにする。

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