第5話 日本開戦
日本は、未曾有の危機に瀕していた。
宇宙より、全長十五万キロという飛んでも無い宇宙船?が降臨して、その国である?
ソラリスが、日本に宣戦布告した。
地球の直径さえ貫通する程の超巨大スケールのソラリスを上に、日本を助けようと世界中から応援が駆け付ける。
開戦前に来られたのは、戦闘機だけである。
アメリカ海軍、722機、その編成はF15 F18 フル装備。
アメリカ海兵隊、310機、ハリアー F18 フル装備。
アメリカ空軍、1600機、F15 F16 F22 F35 フル装備。
地球で最強の軍隊が、その全ての戦闘機を持って来た。
イギリス空軍、160機、ユーロファイターとパナヴィア・トルネードの大編隊
ドイツ空軍、140機、ET2000とトーネードの大編隊。
そして…日本は、攻撃型ヘリコプター70機、F4とF15合わせて200機、F2が90機。その持てる空力を全て使う。
三千機以上の多国籍軍の戦闘機が、日本の空を守る。
無論、日本にも自衛隊や在日米軍の戦闘車両の軍団が配備される。
国民の全ては、所定の避難地に誘導され自衛隊の護衛が付く。
日本の全てを守れる訳では無い。
避難地とされる役所や、病院、学校、公共施設を重点に、自衛隊が配備される。
無論、日本周辺海域には、日本の戦闘護衛艦がフルで動く。
はたかぜ、こんごう、あたご型の八艦が、均等に配備される。
護衛艦三十艦も、東京を中心に配備される。
その戦闘態勢になる日本を下にする巨大床映像を見る天帝アレスジェネシス。
ソラリスの司令に間で、アレスジェネシスは仮面でない素顔で日本の配備状況を確認した。
アレスジェネシスが一言
「ほう…なかなかに集まったなぁ…」
隣には、補助としてレミエルがいる。
「ええ…戦闘機の総数3200機程度かと…」
アレスジェネシスは顎を擦り
「現在、この世界での最大の戦闘機数か…」
「おそらく」
と、レミエルは頷いた。
アレスジェネシスはレミエルを見て
「ミカエル達の方は?」
レミエルが肯き
「問題ありません。順調に準備を終えています」
アレスジェネシスは、三対ある両腕の左腕の一つを動かし時計を表示させる。
「あと…一時間後か…」
「はい」
と、レミエルは頷く。
アレスジェネシスが鋭い顔で
「全て計画通りに行くと思うか?」
レミエルは渋い顔をして
「計画通りに行くとは…思えませんが…。引き際を間違えなければ…多分」
アレスジェネシスは首を傾げ
「確かにな。何があるか…分からないのが現実だ。皆には慎重に行動せよと…」
「は!」
と、レミエルは右手をコアのある胸部に置いて敬礼する。
アレスジェネシスは三対ある前の両腕を組み
「まあ…こちらの計画通りには進まないさ。それなら、それでも良いな」
それ程までに、この別のパラレル過去世界が優れているという事だ。
◇◆◇◆◇◆◇
戦闘機達が通信する。
交信する日本のF2とアメリカのF22
「こちら、アルファ」
「聞こえている。日本の戦士よ」
「すまない。恩に着る」
「気にするな。侵略に来たインベーダー共を退治して祝杯といこうぜ!」
「ああ! 滑走路のパーティー会場で待っているぜ」
お互いがコクピットから敬礼する。
空の守りは完璧だ。この時代では…。
地上では、避難する住民が、自衛隊の護衛に包まれて避難地の学校にいた。
子供が空高く見えるソラリスを見上げる。
それに自衛隊の人が
「大丈夫だ。オレ達が追い払ってやる」
子供は無邪気に頷いた。
刑務所では、受刑者が
「おーーい オレ達も逃がしてくれよーーー」
刑務官が
「そんな必要はない! 自衛隊や多国籍軍が侵略者を追い払って終わる」
刑務所の管理はされていた。
この混乱に乗じて服役者が脱獄するのを防ぐ為だ。
人が消えた町を警察のパトカーが巡回する。
この騒ぎに乗じて強盗や窃盗、犯罪を犯す者を捕まえる為だ。
日本中は、皆…信じていた。
力が結集すれば、侵略者を追い払える。勝てると…第二次世界大戦の時のように孤立していない。世界の力が集結している。
報道関係者は、自社ビルや、政府施設の前で、開戦の前の雰囲気を伝えていた。
それに避難している人々がネットやテレビに釘付けだった。
それは、他の世界中の者達も、固唾を呑んで見つめていた。
世界には、希望が満ちていた。勝てる、世界中の力を終結させれば勝てると、本気で信じていた。
世界が一つに纏まっていた。
そして、開戦の時刻が迫る。
◇◆◇◆◇◆
開戦の午前九時になった。
戦闘機達のパイロットが空を見つめる。
最初に降臨するのはミカエル達の部隊である。
ソラリスより、無数の物体が降下してくる。
その全てがアイン・ゴーレム達だ。アイン・ゴーレムは背中に推進と攻撃ようのエンジェルウィングを伸ばして、大気圏を抜け日本に降下する。
その数、十万機。
地下の特別政府施設で、阿部総理は、部下と共に自衛隊の報告を聞いていた。
「現在、上空より、大多数の物体が降下して来ます」
阿部総理がいる司令センターの画面に、アイン・ゴーレムが雨粒のように降り注ぐ場景が映し出される。
隣にいた部下の東城が
「そんな…なんて数だ」
アナウンスが
「時刻通りに来ました」
阿部総理が
「これより、対象に対して無期限の武器使用を解除する」
戦闘航空機達が一斉にミサイルを発射する。
空を覆い尽くすアイン・ゴーレム達十万機に向かって同等数のミサイル群が迫る。
その中に、完全武装の白光を輝く起動兵器装甲を纏うミカエルがいる。
迫り来るミサイル群を前に
「全く、あんな…骨董兵器で対処出来ると思っているのか?」
そこへ通信が入る。
「ミカエル」とガブリエルだ。
「作戦通りにやってね」
「分かった」
と、ミカエルは告げて降下するアイン・ゴーレム達の全てとリンクする。
作戦通りに行動をさせる為に。
ミサイル群が、十万のアイン・ゴーレム達と衝突、空が爆発と閃光の雲海に包まれる。
そして、一斉に地上にある戦車や対空砲、対空ミサイル達も発射、護衛艦達もミサイルを放つ。
無限の攻撃の轟音が空から響き渡る。
その下にいる住民がそれを見上げる。
そして、それに怯えて子供達は耳を塞いでいた。
順調に攻撃を続ける日本防衛の軍団。
ミサイルの嵐の中をアイン・ゴーレム達は抜けて戦闘機へ到達するも、戦闘機達が機関砲や、ミサイルを放ってアイン・ゴーレムと戦闘する。
アイン・ゴーレムは、その攻撃から逃げるように背を向けて飛行する。
戦闘機のパイロットが
「おらーーーー 攻撃してみやがれ!」
アイン・ゴーレムが腕にある空間波動砲を放つも、戦闘機の上で爆ぜてダメージを与えない。
「効かねぇぜーーーー」
戦闘機達は、空飛ぶアイン・ゴーレム達の撃墜を優先させる。
ミカエルは、その戦いを上より見下ろしている。
「さて…囮は上手く食いついたようだ…」
ミカエル達は…囮だった。
ソラリスが地球に打ち込んだアンカーから、観測不能のAOフィールドに包まれて下りてくる大多数の存在があった。
その指揮をしているのが、ガブリエル、ウリエル、ネルフェシェルの三人だ。
ガブリエルとウリエルに繋がる女性型アイオーン達ドミニオンズは、観測する力に捉えられないAOフィールドに包まれたまま、同じフィールドに包まれているアイン・ゴーレムと、3メータ程度のアイン・ゴーレムの十倍もある巨人のゴーレム、ギガンティスの軍団と共に日本各地に広がる。
目的は、日本各地にある発電施設、政府重要ポイントの確保、通信の制圧、避難している住民達の施設の確保だ。
ネルフェシェルは、別の任務がある。
ネルフェシェルが連れているのは、ネルフェシェルとリンクしているゾディアック型のゴーレムだった。
これは、ネルフェシェルの持つフィールド型ナノマシンを持つゴーレムだ。
ネルフェシェルの目的は、刑務所にある受刑者の確保だ。
ネルフェシェルは、刑務所が多い東京へ向かい、他のゾディアック型のゴーレム達は、日本各地の刑務所に分散する。
ソラリスでは、順調にミカエルの囮が機能して、ガブリエル、ウリエル、ネルフェシェルの活動がスムーズに行われるのを、アレスジェネシスは見る。
アレスジェネシスは、時計を確認する。
始まって30分が経過した。
「順調に進んでいるなぁ…」
と、告げるとレミエルが
「ええ…今の所は…」
アレスジェネシスは渋い顔をして
「だが、油断するな…どんな障害が現れるか…分からんぞ」
「はい」
とレミエルは頷くと、一人のアイオーンが近付きアレスジェネシスに何かを告げる。
アレスジェネシスは肯き
「よろしい。彼にも…ヘパイトスにも、これを見せようぞ」
近付いたアイオーンはお辞儀して命令を受理して下がる。
レミエルが
「彼が…ヘパイトスが目覚めたのですか?」
「ああ…」とアレスジェネシスは頷く。
レミエルが真剣な顔で
「もしかして、邪魔立てを…」
アレスジェネシスはニヤリと笑み
「そんな事なんぞしない。もし、アヤツが我なら、情報が少ない内は、むやみに動かない。それは絶対だ」
レミエルが
「ああ…パラレル過去世界の天帝様でしたね」
アレスジェネシスは
「よって本作戦に集中するぞ」
アイン・ゴーレム達と指揮するミカエルの通信にガブリエルの通信が入った。
「こっちは配備が終わったわよ」
ウリエルも入る。
「終わったよ~後は、ネルちゃんだけだよ~」
ネルフェシェルが
「ネルちゃんは止めろ。こっちも配備が終わったぞ」
ミカエルが
「分かった。撤退する」
ミカエルが右手を挙げると、アイン・ゴーレム達が一斉に上昇を開始してソラリスへ戻って行く。
ミカエルも日本に背を向け通信で
「天帝、三人とも、予定通りに配備を終えたそうです」
『そうか…御苦労、ミカエル』
と、アレスジェネシスの労う言葉が贈られる。
「いいえ…こっちは、ただ、攻撃を回避するだけの楽な仕事でしたから…」
アイン・ゴーレム達がソラリスへ戻って行く様子に、日本中が歓喜した。
侵略者の攻撃を凌いだ!と、日本中が喜んでいた。
阿部総理は直ぐに地下の司令センターから官邸へ戻り、アレスジェネシスと繋がる通信の水晶を前に
「アレスジェネシス氏と話がしたい」
直ぐに通信の水晶がアレスジェネシスを出す。
阿部総理が
「我々が勝ったようですね」
仮面のアレスジェネシスは沈黙である。
阿部総理が
「もう、このような争いは止めにしませんか? お互いに良い道があるはずです」
アレスジェネシスは沈黙だ。
仮面の顔からは表情が見えないので、どんな反応があるか分からない。
阿部総理が
「アナタ達が攻めてきても、我々は勝てる。それが証明されたのです。もう…は戦いは、終わりにしましょう」
アレスジェネシスは淡々と
「再び、攻める。13時に開始する」
と、告げて通信を切った。
阿部総理は肩を落とした。
傍にいた東城が
「戦闘機部隊の補充を急がせましょう」
◇◆◇◆◇◆
日本は、宇宙からの侵略者に勝った事に歓喜していた。
報道は、戦った戦闘機乗り達を讃え、我々は勝ったと勝利宣言をした。
戦闘機達が、空港や基地に帰還して補給を受ける。
パイロット達は手を合わせて喜び歌った。
だが、直ぐに再び攻めてくると入り、また、追い返してやる!と意気込んでいた。
避難地では、再びの戦闘の為に一時いる事になり、お昼を買ったり、配給の食事をしていた。
みんな、喜びに満ちていると、小さな幼子が、とある場所を指さす。
「ねぇ…ママ、ここに何かいる!」
そこにはAO(絶対客観)フィールドに包まれたアイン・ゴーレム達がいた。
大人はそこを見ても何も見えない。
そう、子供は純真な直感があるので、AOフィールドを見破る事が出来る。
「何もいないよ」
と、母親は告げる。
きっと戦闘の事で驚いて混乱していると思った。
幼子達は、正確にAOフィールドに包まれて待機するソラリスの軍勢を見抜いていた。
そして、再度の戦闘の時間が迫る。
報道や、ネットは、また、追い払えると楽観だった。
政府の関係者も勝てると意気込んでいたが、東城だけは厳しい顔だ。
東城の同僚の赤田が
「どうした?」
東城が首を傾げ
「おかしい。あれ程のモノを持っているのに、この程度の物量…割に合わない」
赤田が
「相手は、15万キロの超巨大な宇宙船を維持するだけで精一杯じゃあないのか」
東城が
「だったら…なぜ戦争をふっかける?」
赤田は
「勝ったのは事実だろう」
東城が
「戦闘の記録を見た。まるでワザと回避しているようだったぞ」
赤田が
「我々の力が強かったんだろう」
東城が
「秒速7キロの超音速で動く核弾頭を簡単に捉えられる者達だぞ」
赤田が
「心配性だな…」
東城は厳しい顔をして
「もしかして、手加減していたのでは…?」
その不安は的中する。
◇◆◇◆◇◆◇
ソラリスの500キロ幅がある円柱が動く。
花開くように八つの柱を展開する。何かの固定を外すように…。
ソラリスの司令の間では、床に日本を映す上のアレスジェネシスが
「メルカバーの使用をを許可する。ミカエル、ラファエル、ラグエル、サラカエル。メルカバーで出撃せよ」
隣で補佐をするレミエルが
「あの時も…最終戦争の時、このように…メルカバーを出撃させてもらえば…勝てたのですがね…」
ちょっと棘がある言い方にアレスジェネシスは、渋く眉間を寄せ
「まあ…その…ああ…すまん」
「はぁ…」とレミエルは溜息を漏らし
「良いです。今回使って貰えたので良しとします」
ソラリスから、幅500キロ、厚さ100キロの、超巨大戦艦要塞が出撃する。
惑星戦略兵器メルカバー、パーフェクト・ゼロ(完全真空相転移)のリアクターを持つそれは一艦で、惑星を完全に破壊し尽くせる程の兵力と威力を持っている。
前人未踏の超巨大惑星級戦略兵器が四艦も日本に降下する。
その四艦だけで日本を覆い尽くしてしまった。
それが迫るのを日本の空を守る戦闘機達は見つめる。
「なんだ…これは…」
余りにも巨大過ぎて、何が起こったのか?さえ分からない。
500キロのメルカバーから、桁違いの巨大兵器、ギガンティスが光輪と翼を持って放たれる。
その数、数十億だろう。
日本の空を全て覆い尽くしてしまった。
メルカバー達の蓋に、ギガンティス達の大雲海に日本が沈んだ。
戦闘機のパイロットが吼える。
「さっきのはこちらの戦力を見る。偵察だったってのかよ!」
メルカバーの核にいるミカエルが、黄金の回路が舞う操縦システムに乗りながら
「メルカバーの5%程度の戦力で十分だろう」
この圧倒的物量でさえメルカバーの本気ではない。
本気になれば、地球は粉微塵に破壊される。
戦闘機がギガンティス達に攻撃を仕掛けるも。放たれたミサイルは発射された傍から爆発無効化、ギガンティスの空間波動砲で粉砕される。
そして、戦闘機が回避行動をする。それは音速に近いが、ギガンティスからすれば鈍足だ。
空間を書き換えて推進する、空間推進機関で、瞬間移動の如く、亜光速で戦闘機の前に立ち塞がり、その翼を切り落とし、コクピットを掴んで取り出す。
壊れて落ちる機体は、地上に被害をもたらさないように、空間波動砲で破壊する。
その全てが余裕をもって行われる。
まるで、赤子の手を捻るように、ギガンティス達は戦闘機を落とし、パイロットを保護する。
地上では、一斉に待機していたアイオーン達が、AOフィールドを解除、人々が避難していたありとあらゆる場所が包囲制圧され、地上にいた自衛隊の部隊でさえも同じだった。
アイン・ゴーレム達とアイオーン達が告げる。
「抵抗は止めなさい。投降すれば命の保証はします」
ガブリエルの声だった。
AOフィールドに隠れていた場所は、幼子達が何かがいると言っていた場所だった。
親達は驚愕した。そこから、アイン・ゴーレム達が突如として出現した。
子供は、呆然とアイン・ゴーレム達を見上げ母親が、子を守ると駆け付け抱き締める。
「投降してください。そうすれば、身の安全は保障します」
と、アイオーンがアイン・ゴーレム達の前に降りて告げる。
住民と守っていた自衛隊は、言う通りに投降した。
ネルフェシェルは、刑務所の建物の上で、フィールド型ナノマシンは発動する。
銀色のフィールドが広がり、ナノマシンが拡散、刑務所にいた受刑者達の皮膚から神経へ侵入、脳内へ精神拘束のナノマシンネットワークを構築する。
静かになった受刑者達に、刑務官が来て
「どうした!」
受刑者達の額にאが浮かび上がり、その周囲にナノマシンのネットワークが脈動の光を広げる。
刑務官は青ざめていると、そこへ
「彼らは、我々の手中に落ちましたよ」
ネルフェシェルが来た。
「ああああああ!」
刑務官は驚き、その場を脱兎した。
ネルフェシェルはフッと笑み、他の刑務所にあるゾディアック型のゴーレム達のリンクを確認すると、受刑者全員が手中にあるのを確認出来た。
「以外と簡単だったなぁ…」
と、ネルフェシェルは物足りなさを感じた。
日本の全てが掌握され、最後に阿部総理がいる司令センターに潜入していたアイン・ゴーレム達が、阿部総理の前に来る。
阿部総理と、その周囲の部下達は驚愕に包まれていた。
東城だけが
「成る程…こういう事だったのか…」
そして、最悪な展開が始まった。
国連本部にて、日本、ソラリスへ向けての核保有国の核攻撃の決議がされた。
それは日本に滅びろと言っているようなモノだ。
その決定をネットシステムのハッキングでアレスジェネシスは知り
「はぁ…やはり、我らの想定通りの愚かな事をするのだな」
レミエルが
「これが人類の性というものでしょうね。前の我々の世界の時も同じでした」
アレスジェネシスは背を向け、司令の間を離れる。
「では…そんな愚かな人類に鉄槌を見せてやろう」
レミエルがお辞儀して
「いってらっしゃいませ」
アレスジェネシスはソラリスから宇宙へ出ると、三対の両腕と結晶の多翼を広げる。
その背後から、一本の光線が伸びてそれが、門の入口になる。
アレスジェネシスの持つ力、超位存在、ドラクエルリオン(天照大神超龍神機)の発動を始めた。
アレスジェネシスが開く門の直径は、地球の百倍、太陽の直径である。
その光線の門を内側から鉤爪が開き、その太陽クラスの門を開ける。
宇宙が軋む、その出現だけで空間が揺らめき、エネルギーが湧き出る。
太陽クラスの門を潜るそれは、太陽と同じ大きさだった。
黄金に輝く鎧の躯体、五対の鉤爪を持つ鎧腕、背中には黄金の結晶の翼を持ち、菩薩の座禅の如き鎮座の脚鎧、頭部は龍の匠を持つ兜だった。
黄金の鎧に包まれる龍の鎧阿修羅武者菩薩のそれは、五対ある腕の一つだけで地球を覆い尽くした。
その場景を、他の国々も観測していた。
そして、世界中のネットワークと報道にアレスジェネシスが映る。
「愚かなり、お前達は何時も高慢で、道を見誤る。己の矮小さを理解できず。愚行ばかり繰り返す。知るがいい。己の無力さを。それが明日へ続くのだ」
黄金の空、アレスジェネシスの太陽級ドラクエルリオンの手に包まれる地球の全てに神の雷霆の如き雷が降り注ぐ。
世界中が同時に万雷の稲妻に包まれた。
国連は直ぐに、核攻撃の中止を決議した。
地球人類は敗北した。
日本は、ソラリスに降伏した。
日本という国は、ここで歴史を終えた。
それをソラリスの一室から見ていた人物がいた。
コードネーム、ヘパイトス、覚醒した山中だった。
ヘパイトスの瞳は鋭かった。
それを隣で世話をする女性型アイオーンが
「気にする事はありません。当然の結果ですから…」
ヘパイトスは、女性アイオーンを無言で見つめる。
女性アイオーンはヘパイトスに微笑む。
ヘパイトスは項垂れる。
これから…どうなるのだ?
不安より、現状を知ろうという意識と好奇心が強かった。
故に目には光が灯っていた。
女性アイオーンもそれを察していた。
やはり、この方は…間違いなく天帝と同じ方だ…と痛感する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます