15. 違和感の正体
――なにかがおかしい。
アオイは心のなかでボヤきながら、炎を避けて水の道を造り、森の住人たちの避難を促していた。とにかく、この森から皆を避難させなければ、と。
だが、心のボヤきの正体も考えなければいけない、と。闇雲に逃げるだけでは駄目な気もしたのだ。
――目的は、なんだ?
『彼らは――そこの人の子を、ここに置き捨てた奴らだよ』
自分が伝えた情報を、思い返してみる。
『――今夜、よく気をつけて、老涙竜。奴らはあなたを殺すつもりでいる』
『そこの、人の子を取り戻すつもりで、ここへ向かっている』
――『奴らの狙いは、あなた「だけ」だから』
「……もしかして」
その情報が、フェイクなら? 今一番狙われているのは誰なのか。
そこまで考えて、ふと思う。
「ほんとの狙いは、人の子……?」
ありえないことではない。
そう考えて、ハッとする。
『――ねえ、老涙竜! あの人の子はどこにいる!?』
そう叫ぶ。するとフィネルや、声を聞いた妖精たちも、同じような反応をした。
『……いない……? そんな……。こはくがどこにもいないわ!』
確信とも言えないし、もちろん確証もないが。
――なにか、人の子の身に危険が迫っている。
そんな気がしてならない。
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