惑星X人との接触
我々、第三次惑星
惑星Xは、我々の太陽系によく似た恒星系の第三惑星である。無人探査機が、この惑星の上に生命体を発見したのが、二世代前のこと。我々と同様に、酸素を呼吸する二足歩行生物! 直ちに第一次調査隊が送られ、この生物が知的生命体であること、彼らが複数の種族、複数の言語、複数の宗教からなる多様な文明を持つことが確認された。
続いて送られた第二次調査隊は、惑星X人に気づかれぬよう密かに惑星の衛星軌道を周回し、彼らの言語や文化を研究するための資料を収集し続けた。また、ロボットを乗せた小型艇による惑星表面の無人地帯への降下、及び本船への帰還実験を成功させた。収集した資料をもとに、全世界の頭脳が一丸となって研究を進め、惑星X上での標準語とされる言語を解明し、相互翻訳機を完成させた。
そして、第三次調査隊の中から、私を小隊長とする四名が、惑星X人と接触する重要な任務を与えられたのだ。
しかし、予期せぬ事態が発生した。小型艇で母船を出発したが、大気圏突入直後に、原因不明のコンピュータトラブル。機体制御をマニュアルに切り替え、何とか着陸は成功させたが、予定の降下ポイントから大幅に逸れてしまったことは間違いない。位置情報システムにもエラーが生じたらしく、我々が惑星上のどこにいるのか不明である。加えて、母船との通信状態も悪い。乗員に怪我はないのが、不幸中の幸いだ。
外の様子をうかがうと、灰色の空の下、遠くに長くうっすらと壁のような建造物が見える。我々の着陸を目撃したのだろう、惑星X人が集まり始め、艇を遠巻きにして立っていた。私は意を決した。二人を艇内に残し、私ともう一名がハッチを開いて外に出る。驚いたX人の輪が広がったものの、完全に逃げてしまうことはなかった。
予定は大分狂ったが、これが、惑星X人との初の接触だ。私は一番近くにいたX人に向かって、事前学習したとおり右手を差し出して話しかけた。翻訳機が上手く作動することを、心から祈った。
「初めまして。我々は、他の惑星から来ました」
“How do you do? We came from another planet.”
X人が叫んだ。
「
翻訳機は沈黙したままだった。
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