capture07 資質-秘書の条件-身だしなみ

 ある日の市街地にて…


「さぁお姉!買い物行こう買い物!」


「そうね。友達の代わりに入ったバイトの給料も入ったことだし、今日はカフェ代位なら、私が出してあげるわよ」


「やったー!!……って、お姉!!」


 美琴の言葉に促され前方を見た私の目に、某高校の制服を着た見た目が派手な集団が映り込む。


「…ちょっとスマホいじるフリをして、横に避けましょうか?」


 私と美琴はスマホをいじるフリをしながら、歩道の脇に避け、立ち止まった。


 集団が近づくにつれて、きつい香水の匂いが辺りを包み込んでいく。


「…この匂いって、あの集団からするんだよね…」


「多分ね。香水って、微かに香る程度が一番いいのに、ね…」


 スマホをいじりながら、その集団の女性数人をチラッと見ると、インナーパンツが見え隠れしているものの短すぎるスカート。ブレザーは羽織っているものの、ブラウスの第2ボタンまで外し、リボンをだら~っと胸元に下げていく上半身。遠くからでも分かるショッキングピンクの口紅をつけ、バッチバチのつけまつげをつけている。


 靴は普通の高校生が履く革靴を履いているようだが、手の爪には口紅と同じ色のマニキュアをつけ、明るい茶色に染めたセミロングの髪の毛は、まとめることなく肩にさらっとかかり、その先はリボンの辺りまでいっていた。


 耳や鼻に目をやると、大きくキラキラしたアクセサリーが、ジャラジャラと音を立てそうな勢いで揺れている。


「…化粧も濃いわね…」


「…煉先輩にとって、絶対嫌いなタイプだよね…」


「…まぁ、そうかも知れないけど…あの人たちが就職活動する時も、あんな感じで行くのかしらね?」


「いや、さすがにそれはない気がするけど…ビジネス的には…」


「そんな!聞く程のことでもないでしょう?」



***



 秘書(に限らず一般社員)には、が求められます。


 具体的には『清潔感があり、機能的であることが基本で、所属企業のイメージとの調和が取れた身だしなみ』が求められます。


 心得ておきたいポイントとしては…


・自分の個性に合った、清潔で活動しやすい服装(

・化粧はで、華美にしない

・マニキュアは控え目な色が望ましい(透明や肌色)

・アクセサリーは、派手なものや仕事の妨げになるようなものは避ける

・髪の毛は、お辞儀をしたときに顔を覆わない程度の長さに。長い場合は後ろで束ねる

・靴は活動しやすい、中ヒール程度のもの。男性はビジネスシューズ

・香水はできる限りつけない(つけるなら微かに香る程度のもの)


等を挙げることができます。


 ビジネスの装いは、『就職活動中』にも求められ、企業の人事担当者は頭の天辺から足のつま先まで、よく見ているものです。


 『学生だから』『就職活動中だから』といった甘い考えで、自分の装いを考えることはご法度です。


 既に社会人になっている方はもとより、就職活動中の学生の皆さんは、ぜひ参考になさって下さい。



***



「まぁ、私は化粧してもナチュラルメイクだから、進路活動にも問題ないだろうけどねぇ~」


「そんな事言って!油断してると先輩に嫌われるわよ!!」


「は~い!」



capture08 に続く



~検定問題にチャレンジ!~



 新人秘書A子は、出身校のサークルへ仕事の帰りに立ち寄った。そのときA子は後輩たちから『学生時代とは雰囲気が変わってすてきな社会人という感じがする。なぜだろう』と言われた。そこでA子は、雰囲気が変わった理由を次のように話した。中から『不適当』と思われるものを一つ選びなさい。

(第109回 秘書技能検定 3級問題より)



「1.新人社員研修で注意され、平板な締まりのない話し方をしないようにしたからではないか」



「2.仕事上靴は中ヒールで、てきぱき歩くようにしているのが身についてきたからではないか」



「3.仕事柄華やかな雰囲気が必要なので、化粧やアクセサリーも華やかになるように気を使っているからではないか」



「4.来客にあいさつしたりお茶を出したりするとき邪魔にならないように、髪をすっきりまとめているからではないか」



「5.秘書は上司の体面上きちんとした印象を持たれないといけないので、ビジネス向きのスーツを着ているからではないか」



 『不適当』な選択肢は…

























「3.仕事柄華やかな雰囲気が必要なので、化粧やアクセサリーも華やかになるように気を使っているからではないか」



~解説~



「秘書は仕事柄、てきぱきとした動作、はきはきとした話し方、きちんとした服装などが必要になります。このようなことから『すてきな社会人』という感じがする訳で、『秘書には華やかな雰囲気が必要』などの解釈は不適当ということになります」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る