capture06 資質-秘書の条件-求められる人柄

 ある日のコンビニにて…


「いらっしゃいませ~」


 私はコンビニのレジカウンターに、ビニール傘、お弁当、おにぎり、ペットボトルのジュースを差し出した。


「お弁当は温めますか?」


「はい。お願いします!」


「おにぎりも一緒に温めましょうか?」


「はい!そうして下さい!!」


 店員がお弁当とおにぎりを別々の業務用レンジに入れ、温めをスタートさせる。


「ビニール傘はすぐにお使いになりますか?」


「はい」


「分かりました。では、包装をお取りしますね」


”ガサガサガサ…”


「すいません…ここにある肉まんも一つ下さい」


「ありがとうございます。少々お待ち下さい」


 私が肉まんを注文すると、それを聞いていた別の従業員がアルコールで手を除菌し、専用の包み紙にトングを使って入れると、弁当の温め待ちのレンジの上に置く。


 そして数秒後…


「お待たせしました。ありがとうございました」


「どうも~」


 私は温かいものと冷たいものに分かれたレジ袋を2つ持ち、コンビニの外に出た。


「お待たせ~」


「お姉!私より2、3人位後の会計だったのに、随分早かったんじゃない?」


「このコンビニの従業員は『機転が利く人』が多くて、従業員同士の『協調性』も大切にしているって、ここでバイトしている友達から聞いたことがあるわ。だから、お客さんが必要以上に待つことなく会計が終わっているんじゃないかしら?」


「確かに、このコンビニで会計待ちでイライラしたことって、あんまりない気がするなぁ~」


「…ってことは、ここのコンビニの従業員って、ほぼ全員『秘書』の仕事に適した人たちってことになるわね!!」



***



 秘書(に限らず一般社員)に求められることの一つに『人柄』があります。


 その人柄とは『調』であり、自分の印象が上司や会社の印象に直結することを意識して行動する必要のある秘書(含む一般社員)にとって、なくてはならない資質と言えます。


 内容としては…


・状況に応じて適切な判断ができる(機転が利く・機敏で正確である)

・他人と力を合わせて仕事ができる(協調性)

・偽りや見せかけがなく、真面目(誠実)

・明るく、いきいきしている

・謙虚でひかえめである(捻くれたところがなく素直(穏やか))

・情緒が安定(喜怒哀楽を伴う感情が安定している)

・責任感が強く、機密を厳守する

・向上心があって、努力家(現状に満足せず進歩を続けている)


等を挙げることができます。


 尚、ここで言う『素直』な人とは、『思ったことをそのまま口に出す』人のことではなく、とを指します。


 これらの人柄を意識して、業務に従事したいものです。



***



「そうだね!まぁ、ガサツなお姉に、秘書の仕事は無理だろうけどねぇ~」


「ちょっと!誰がガサツですって!?」


「ほら怒った!!」


「こら美琴!待ちなさ~い!!」



capture07 に続く



~検定問題にチャレンジ!~



<秘書に求められる人柄>

 秘書A子は自分の出身校から頼まれ、これから就職する後輩に対して秘書の仕事についての話をした。次はその時A子が、秘書にはどのような人が向いているかを話したことである。中から『不適当』と思われるものを一つ選びなさい。

(第107回 秘書技能検定 3級問題より)



「1.会社の秘密事項などを知る機会があるので、社交的でない人が向いている」



「2.秘書の仕事は黒子(※1)に例えられる仕事なので、出しゃばらない人が向いている」



「3.上司の私的なスケジュールを管理することもあるので、口の堅い人が向いている」



「4.上司や来客の言動から先を読んで行動しないといけないので、気の利く人が向いている」



「5.日常的に細かい仕事があり、その都度処理する必要があるので、まめな人が向いている」



(※1 黒子とは、本来、歌舞伎などで役者の演技や舞台進行の介添えをする黒い衣装を着た人のこと。転じて、表に出ないで物事を処理する人のこと)



 『不適当』な選択肢は…

























「1.会社の秘密事項などを知る機会があるので、社交的でない人が向いている」



~解説~



「秘書には会社の秘密事項などを知る機会がありますが、それは口外してはいけないことです。社交的であっても口外しなければよいことなので、社交的でない人が向いているということではないため、不適当ということになります」

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