chapter10 ビジネス電話 4つの心得~丁寧~
ある日の自宅のリビングにて…
『もう!!いらないものはいらないの!もう2度とかけてこないでちょうだい!!!』
”ガチャン!!”
”ツーツーツー”
”スタスタスタスタ…”
「リビングから凄い音が聞こえたけど、お母さん、何かあった!?」
「あら真琴。真琴の部屋まで聞こえていたのね…ごめんなさい」
「いやね、あまりにもしつこい勧誘の電話だったものだから、母さんイライラしてしまって、つい受話器に八つ当たりしちゃったのよ…」
「あの凄い音は、受話器を置く音だったのね…学校のビジネスの授業では、受話器を置く音は相手に不快感を与えかねないから、足達先生からは『受話器は静かに置くこと!!』って教わっているけど…逆にしつこい勧誘の電話の場合は、そうやって置いた方が相手は2度と掛けて来ないだろうから、いいのかも知れないね…」
「そうかも知れないわ。それでいて、私が何も知らない子どものような扱いをするんだもの。今考えれば凄く失礼しちゃう電話だったわ…」
「足達先生は『電話応対では、相手が目の前にいるかのような気持ちで応対することが大切』って授業で言っていたけど、母さんの電話の先にいた人は、それができていなかった訳だね…」
「何だか、私を小バカにしたような話し方で、とっても上から目線の話し方をするのよ!足でも組んで、ふんぞり返って話していたんじゃないかしら…」
「相手の見えない相手にそこまで思わせてしまうのだから、その人の電話応対はビジネスマンとして失格という訳ね…」
***
ビジネス電話の4つの心得の最後に「丁寧」が挙げられます。
これは「電話で話しているときの表情や態度は声の表情として表れる」と言われているからに他ならず、即ち電話応対では「相手が目の前にいるかのような気持ちで応対すること」が大変重要になってきます。
また、「丁寧」な電話応対を実現するための原則として「かけた方が先に切る」というものがあります。
電話は、相手の状況を鑑みず、一方的にアクセスができてしまうコミュニケーション手段の一つであり「こちらから一方的にアクセスし、時間を取らせてしまい申し訳ない」という気持ちを表すために、かけた側から受話器を置き、通信を切るのがマナーだとされています。
しかしながら「得意先への電話」「重要な関係者への電話」「依頼や謝罪の電話」などは、『相手を立てる』という観点からも、例えこちらから電話をかけたとしても、相手が切るのを待つのが良いとされています。
いずれにしても、電話応対を『丁寧』に行う配慮をすることで、相手をたてたコミュニケーションを図ることができ、その後の円滑なビジネスの礎を築くことができるという訳です。
***
「それにしても、その人はもっと電話について学んでおけば、母さんから契約を取れたかも知れないのに、残念なことをしたわね。ちなみに、どんな勧誘の電話だったの?」
「『健康食品を原価で購入して、母さんの友だちに市価よりも安く売れば、友だちにも喜ばれて、母さんには成功報酬でマージンが入ってくる』って勧誘だったわ」
「…母さん…それ、マルチ商法の一種だよ…相手の人の口がまずくて良かったね…契約しないで済んだから…」
「あらやだ!!そうだったの!?口がうまい人だったら、危うく騙されるところだったわ…」
「(今回は運が良かったみたい。でも、いつか騙される日が来なきゃいいけど…)」
「母さん…どんなに安いものを買うって時でも、電話だけで勧誘してきたものは、やめた方がいいかも…」
「そうね…もし買うにしても、父さんやあなたに相談してからにするわ」
皆さまも、振り込め詐欺やマルチ商法等の勧誘には、十分にご注意下さい…
chapter11 に続く…
~検定問題にチャレンジ!~
新入社員の新見遥は先輩から『電話応対では、表情や態度が声の表情として表れるから、丁寧な対応を心がけるように』と教えられた。次は新見が、電話応対での丁寧な対応について考えたことである。中から『不適当』と思われるものを1つ選びなさい。
(剣世炸制作オリジナル問題。ビジネス電話実務検定知識B級相当)
「1.相手には見えていないが、電話で相づちを打つ時も、相手が目の前にいる時と同様に、首を縦に振って打った方が良いかも知れない」
「2.相手を立てるという意味でも、電話をかけた方から先に切るのが良いかも知れない」
「3.受話器を置く時の音は相手に伝わるものだから、より丁寧な応対をしたければ、電話はいつでも後から切るようにした方が良いかも知れない」
「4.受話器を置くときは『ガチャン!』と乱雑に置くことは避け、静かに置くのが良いかも知れない」
「不適当」な選択肢は…
↓
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「3.受話器を置く時の音は相手に伝わるものだから、より丁寧な応対をしたければ、電話はいつでも後から切るようにした方が良いかも知れない」
~解説~
受話器を置く時の音は確かに相手に伝わるもので、乱雑に置くと相手に不快感を与えかねないものです。しかし、その音を避けるがために全ての電話を「後から切る」というのは、「かけた方が先に切る」というビジネス電話の原則に反することになります。この場合、受話器を静かに置くことを心がければ済む話であり、『丁寧な電話応対をするために考えるべきこと』とは言えないため、不適当ということになります
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