chapter08 ビジネス電話 4つの心得~正確~

 ある日のけやき商の放課後…


「ねぇねぇ、お姉!これ見て!!」


「綺麗なネックレスね!どうしたの?」


「この前、お気に入りのラジオ番組を聞いていたら、ラジオショッピングでこのネックレスが紹介されていたんだ!高校生を対象にした番組内でのラジオショッピングだったから値段もお手頃だったんだよ♪」


「そう!てことは、電話して注文したのね!」


「そうそう!オペレーターさんの電話応対、「さすが」って感じだったなぁ…」




『お電話ありがとうございます!○○ラジオショッピング、オペレーター担当の××です』


『あの~今ラジオを聞いて、電話したんですけど~』


『ありがとうございます!高校生限定の特別ご奉仕のネックレスでございますね!!』


『それです!1つ、注文をお願いしたいんですけど…』


『かしこまりました。ご注文、ありがとうございます!それでは、ご注文者様のお名前を、でお願いできますでしょうか?』


『嶋尻 美琴と言います』


  



***



 ここでオペレーターは、相手の名前を正確に把握するため「」をしました。


 電話応対において「復唱」することは、メモを取った内容をお客様に確認できることの他に…


・自分が正確な応対ができているか確認できる

・メモをする時間を作り出すことができる

・相手に安心感を与えることができる

・取り次ぐ担当が自分の席近くにいる場合、復唱によって本人に予告ができる

・新人が出た場合、その復唱内容を聞き、先輩や上司がアドバイスできる


といった、



***



『以前、当ラジオショッピングでお買い物はされていらっしゃいますか?』


『はい!1か月前にも利用しました!!』


『毎度ご利用頂き、誠にありがとうございます。それでは、お名前と電話番号から、住所等を検索させて頂きます。電話番号は、こちらのナンバーディスプレイに表示されている、090-XXXX-ZZZZ でお間違いございませんでしょうか?』


『はい。その番号です!』


『かしこまりました。少々お待ち下さい… … … …お待たせ致しました。念のため、確認させて頂きます』


『お名前の漢字でございますが…「山鳥(やまどり)の嶋」「ヒップの尻」「美容院の美」「楽器の琴」でお間違いございませんでしょうか?』


『はい!間違いないです!!』



***



 ここで今度は、紛らわしい漢字について、美琴さんに確認をしています。


 嶋尻の「嶋」は、同じ読み方で他にも「島・志摩」等があり、ただの「しま」だけでは確認ができません。


 そのため…


山鳥の嶋(部首を分けて漢字で表現)

アイランドの島(英語と組み合わせて表現)

伊勢志摩の志摩(日本の地名で表現)

ばけがくの化学(科学の場合は「サイエンス」)

下が衣の製(制の場合は「下衣なし」)

力三つの協

ペンのP

ジャックのJ

トップのT


といった表現を用いると、電話でも正確に漢字の確認ができます。



***



「確かに、そのオペレーターさんは、紛らわしい漢字は美琴に分かりやすい表現で確認し、復唱確認も怠っていなかった、という訳ね」


「そうそう!」


「いつも早とちりして、ガサツな対応するお姉とは正反対…」


「ちょっと!!それ、どう言うことよ!!!」


「ひぇ~なんでもありませぇ~ん!!」



 capture9 に続く



~検定問題にチャレンジ~


 人事課の黒木達也は後輩から「電話で研修会場の予約をしたとき、受講者の数を「約50人(やくごじゅうにん)」と言ったら「150人(ひゃくごじゅうにん)」と聞き間違えられた」という話を聞いた。このような場合、黒木が後輩に、聞き間違えられずに「約50人」という意味が伝わる言い方を教えるとしたら、どのような言い方を挙げるのがよいか。次の中から「不適当」と思われるものを1つ選びなさい。

(第19回ビジネス電話実務検定知識B級より)



「1.「50人程度」や「50人ほど」」



「2.「およそ50人」や「50人ぐらい」」



「3.50人より少し多い場合は「50人余り」や「50余人(よにん)」」



「4.50人に少し足りない場合は「50人弱」や「50人足らず」」





「不適当」な選択肢は…


























「3.50人より少し多い場合は「50人余り」や「50余人(よにん)」」



~解説~



 50人より少し多い場合「50人余り」は良いのですが、「50余人(よにん)」は「54人」と聞き間違えられる可能性が高い表現なので「不適当」ということです。

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