chapter16 実務技能-環境整備-

 ある日の休日、私は美琴と一緒に某有名遊園地を訪れていた。


「さぁ着いたわよ!早速、ファストパスを取りに行くわよ!」


「ちょっと待ってよ~お姉!!」


”ドドドドドドド…”


「よしよし♪これでこのアトラクションに乗れるのは確定したわね!」


「お姉は、ここに来ると、と~っても張り切る人だよねぇ…」


「当然でしょ!何せ「夢の国」なんだから♪」


「それにしても、小中学生の頃はアトラクションとキャラクターとの写真撮影に夢中で全く気がつかなかったけど、「夢の国」が「夢の国」であり続けるために、すごく沢山のキャストが外と屋内に配置されているよね…」


「外にゴミが落ちていようものなら、清掃のキャストに限らず、キャストの誰かしらが数分内に駆けつけて片付けてしまったり、迷子の子どもらしき人がいれば、すぐにキャストが保護したり…」


を常に整備することで、ゲストに清潔な印象や気品を感じさせ、清潔な環境が感じの良いキャストの応対を育んで、更に感じの良い応対が環境整備を促す」


「という「正のスパイラル」を生み出しているわけね」


「まぁその分、パスポート代金に負荷されてはいるんだけど…」



***



 サービススタッフに求められる技能の一つに「」というものがあります。


 この「環境整備」を行うためには、マニュアル通りに清掃や整理整頓を行うだけでなく、「」ことがその第一歩であると言われています。


「お客さまに気持ちよく店内で過ごして頂くためには、どんなことに注意すれば良いのか」


 サービススタッフはこのことについて、常に考えながら応対をする必要があり、これを実践するためには、さまざまな事象に「気付く」ことが重要です。


 店内の整理・掃除等を通して「気付いた」ことを環境整備に生かし、お客さまに気持ちよくお過ごし頂けるよう、常に配慮を怠らないことが、サービススタッフには求められるのです。



***



「遊園地の「キャスト」さんも大変なんだね~」


「そうよ!それでも、どんなに時給が安かったとしても、ここの「キャスト」をやりたいって応募をしてくる学生が多いみたいよ」


「私は、キャストさんを演じるよりも「ゲスト」として夢の国に行く方が好きかな…」


「私もそうかな…」


「まぁとりあえず、そのキャストさん達に感謝しながら、色々なアトラクションを楽しみましょう!!」


「さんせ~です♪」



chapter17 に続く



-検定問題にチャレンジ!-


 市役所住民課に勤務している今野淑子は主任から「住民が気持ちよく利用できるように、役所内環境を整えるのも大切な住民サービス」と言われた。今野たちはそれにはどのようなことがあるか話し合ってみた。次はそこで出た意見である。中から「不適当」と思われるものを一つ選びなさい。

(第35回サービス接遇実務検定3級より)


「1.記入台の記入見本は、古びると印象が悪いので期間を決めて取り替えるようにする。」



「2.急な雨に備えて貸し出し用の傘を用意し、いつでも使ってもらえるように入口に置いておくようにする。」



「3.環境を整えることの中には職員の対応も入るので、尋ねられたことに答えるとは明るい調子を意識する。」



「4.自由に持って行ってもらうパンフレット類は、開催日や締切日を小まめにチェックして入れ替えるようにする。」



「5.窓口カウンターで行うことは申請用紙の記入などがほとんどなのだから、そのために必要な物以外は置かないようにする。」



「不適当」な選択肢は…



























「2.急な雨に備えて貸し出し用の傘を用意し、いつでも使ってもらえるように入口に置いておくようにする。」



-解説-



 傘が必要なのは雨降りのときだけです。なのに、いつでも使ってもらえるように入口に置いておくなどは、気持ちよく利用してもらえるよう環境を整えることに反しているので「不適当」ということになります。

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