chapter14 「商品券」の処理の仕方

「ねぇ紗代、見てみてこれ!」


「それ、百貨店やモールで使える共通商品券じゃない!どうしたの?」


「昨日北海道に住んでいるおじさんが来て「遅くなっちゃったけど」って言って、入学祝いとしてもらったんだ♪」


 私は、友だちの紗代と一緒に、ショッピングモールに来ていた。


「美琴ちゃん良かったね♪その商品券なら、このモールのどのお店でも使えるよ!」


「そうなんだ!このモール、LI〇 LISAやAn〇 Rougeが入っているから、好きなんだ!!」


「美琴ちゃんは可愛い系の服が似合うもんね。北海道のおじさんに感謝しなきゃね!」


「そうだね~そう言えば、モールに来てまで話すことじゃないかもだけど、この前の簿記の授業で「商品券」って出てきたよね~」



「発行して現金を受け取った時は、で「商品券の額面分はもうお金を受け取れない」から、会社にとって増えるのはあまり宜しくないって言ってたよね」


「確か


(借方(左側))現金



(貸方(右側))商品券


って処理になるんだったよね~」


「そうそう。確かに、お金を増えているけど、から、発行し過ぎるのは、会社にとっては良くないかもね」


「美琴と紗代じゃないか!奇遇だな~」


「煉先輩!こんにちは!!今日はどうしたんですか?」


「家族の誕生日プレゼントを買いに来たんだよ。美琴たちは?」


「ウィンドウショッピングをしに来ました!」


「私はちょうど昨日、北海道のおじさんからこのモールで使える商品券をもらったんで、服を買おうと思ってます♪」


「そうか。ところで、俺が来る前に何か話をしていたようだけど、話を腰を折っちゃったかな…」


「前回の戸山先生の授業で「商品券」が出てきたので、その話をしてました」


「発行したら「負債」として処理するって奴だな!」


「はい!」


「逆に「他の店の商品券」を買ったり受け取ったり、発行していた自分の店の商品券が戻ってきた場合の仕訳は習ったか?」


「商品券を発行したところでチャイムがなっちゃって、そこまでは教えて頂いていません」


「先輩、その場合ってどうなるんですか?」


「…2人に時間があるなら、ここで立ち話も何だし、カフェにでも入らないか?」


「はいっ!喜んで!!」


”スタスタスタスタ…”


 カフェに移動した私たちは、それぞれ飲み物を注文し、席に着いた。


「で、さっきの話の続きだけど、他の店の商品券を買ったり受け取ったりした時は、どうすると思う?」


「自分の店が発行した商品券は「商品券」って負債の勘定科目で処理しましたよね…ていうことは、他の店が発行した商品券を手に入れた場合、お金がなくてもその商品券で買い物をすることができるはずだから…」


するんじゃないかな…」


「2人とも大正解!「」という「資産」の勘定科目として処理するんだ。」


「他の店の商品券を買った時は…


(借方(左側))他店商品券



(貸方(右側))現金


で処理をして…」


「商品を売った時に代金の一部として受け取った場合は…


(借方(左側))他店商品券

        現金



(貸方(右側))売上


ていう訳ですね!」


「その商品券を使って商品を買った場合は…


(借方(左側))仕入



(貸方(右側))他店商品券


てことですね?」


「その通り。じゃあ、商品代金として、はどうなる?」


「え~と、前受金と同じように「負債」として処理していた商品券が戻ってくるわけですよね…ということは


(借方(左側))商品券



(貸方(右側))売上


とかですか?」


「正解!仕訳で「当店で発行した商品券で受け取った」とあった場合は、そういう仕訳になるな。仕訳の問題の中には「1000円分は当店の商品券で、3000円分は他店の商品券で受け取った」なんてものもある」


「その場合は…


(借方(左側))商 品 券1000

        他店商品券3000



(貸方(右側))売   上4000


って感じですか?」


「そういうことだ。受け取った商品券が「」発行か「」発行かなのかが、仕訳での鍵だな!」


「それじゃ、私がこの店で商品券を使って飲み物代を支払ったら、この店は


(借方(左側))他店商品券



(貸方(右側))売上


って仕訳をするわけですね♪」


「まぁ、そういうことになるが…美琴、まさか全員分の代金を支払うつもりじゃないよな?」


「そのつもりですけど、何か!?」


「いやいや!カフェに2人を誘ったのは俺なんだから、俺に支払わせてくれ!」


「いいですって!私の財布の中身は全く傷まないんですから!!」


「いいや。それじゃ俺の「先輩」としての尊厳がだな…」


「(また2人の「自分が支払う」争奪戦が始まっちゃった…本当にこの2人はお似合いだよなぁ…いつになったらくっつくんだろう…)」


「紗代!私の顔に何かついてる?」


「いいえ、何も。ただ「いいなぁ」と思っていただけ!」


「???」


「???」


 この後、結局割り勘で飲み物代を支払った3人は、モールに入っているさまざまな店を見て回り、それぞれがお目当てのもの手に入れたのでした。


chapter 15 に続く

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