chapter13 「消耗品・消耗品費」って何!?

「沢継君、美琴さん。こっちですこっち」


 私は、先輩の押す台車に積まれたコピー用紙の箱が倒れないよう、手で抑えながらパソコン室の前まで歩いてきた。


「先生、ここでいいですか?」


「はい、2人のお陰で助かりました。あとは、準備室の先生方で運び込みますから、入口の前に台車に載せたまま、置いておいて下さい」


「それにしても先生、すごい数のコピー用紙ですね!」


「これだけあっても、授業でじゃんじゃん使いますから、もって3か月といったところでしょうか?」


「これだけあって、それしかもたないんですね…」


「コピー用紙は消耗品ですからねぇ…」


「消耗品と言えば!この前戸山先生の授業で、消耗品を買った時の処理について教わりました!」


「「買った時になのか」「買った時になのか」によって、処理が分かれる、アレですね」


「確か、全経の簿記検定では買った時に「費用」つまり「消耗品費」で処理しておいて、決算の時に残っている分だけ消耗品費から「消耗品」に振り替える仕訳を行いましたよね」


「さすが全経1級ホルダーの沢継君!その通りです。一般的に、消耗品は「無くなるもの」ですから、資産として処理しておくより、費用として処理しておき、です」


「買った時に「資産」つまり「消耗品」として処理して、決算の時に使簿んですよね」


「ご名答!その通りです。日商簿記では「消耗品費として処理していた勘定記入を見て、消耗品として処理する場合の勘定記入を行いなさい」なんて問題も過去に出題されていますし、3級の第5問の精算表や財務諸表の作成の問題で、消耗品を消耗品費に振り替える処理を行わせたりしています。ですから簿記の学習上、とも言えます」


「先生。コピー用紙は「消耗品」だと分かりますが、コピー用紙以外に消耗品や消耗品費として処理するものには、どんなものがありますか?」


「コピー用紙以外で分かりやすいものと言えば「筆記用具類」「ノート」といったものでしょうか?」


「この前の検定では「」や「」なんてものを購入したって仕訳が出たみたいですね」


「そうなんです。「トナー」ならまだイメージがわきますが「ドラムカートリッジ」は、取り扱ったことのある人じゃないと「消耗品」なのか「備品」なのか分かりませんよね…」


「ちなみに、ドラムカートリッジって何なんですか?」


「トナーから吸い上げたインクを紙に付着させる、プリンタ内の消耗品の1つです。一般的に、数万枚に1回の交換が必要とされていて、年に1回は交換が必要な部品ですね」


「そう知っていれば「消耗品」として処理できますけど、聞いたことない人だったら「ドラム」って何だろう?ってところから始まって「備品」として処理してもおかしくないですよね…」


「パソコンやプリンターを購入した際は、普通「備品」として処理しますからね。「プリンターのドラムカートリッジ」なんて表現をされたら、消耗品と気づかず「備品」として処理してしまう人も多いでしょうね」


「それでなくても、検定の時は緊張しますから、冷静になって考えれば分かる問題も、間違って解答する受験者が多いと、戸山先生に聞きました」


「「」という言葉だけを見て。問題をよく読むと「普通預金口座から振り替えて支払った」と書いてあっても、です」


「普段なら「普通預金」と書けるものも、検定という緊張感満載の空間では「預金」と見ただけでんですね。消耗品の処理も、よくよく問題を確認しなければ間違えそうです」


「今回の話とはあまり関係のないことかも知れませんが、ですよ。例えば預金の「預」の字の左側を「矛」と書いたり、崩し過ぎて漢字として読めない字を仕訳で書いて不正解となってしまう受験者も後を絶たないようです。数字の8・6・0や、7と1は、書き方によっては別の数字に読めたりします。検定で緊張しているのは分かりますが、漢字や数字をしっかり書かなければ、折角正解を書いていたとしても、、なんてことにもなりかねませんからね」


「俺は字があまり綺麗な方じゃないので、今後受検する際は、今まで以上に気をつけるようにします!」


「私は、字を小さく書く癖があるので、少し大きめに書く癖をつけるようにしてみます」


「それがいいでしょう!それからこれは余談ですが、耐用年数が1年未満の「備品」を購入した際や、税法上の例外を除き、10万未満の備品を購入した場合も「消耗品」として処理します。沢継君は、特に覚えておくと良いでしょう」


「分かりました。ありがとうございます!」


「さて、それじゃ今日の部活をはじめましょうか!」


「はいっ!」


「了解しました!」




 消耗品の処理については、仕訳と決算で問われることが多くなっています。


 今後、簿記検定を受検される予定の方は、再度復習をしてみてはいかがでしょうか?



chapter 14 に続く

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