覚悟 一
見るからに食い詰め
「折角の非番なのに」
言いながらも、ひょいと足を出す。
追ってくる後方を気にかけながら必死の勢いで走る男は、それだけで、もんどりうって倒れた。がばと、体を起こす。
にこやかに、笑いかけた。自分の意地の悪さくらい、知っている。
「何やったかしらないけど、大人しくつかまっとけば?」
「貴様ッ…!」
「ほら、来た」
男は、逃げるかどうか迷ったようだったが、わずかな
この
「それに手をかけるなら、切り捨てられても文句がないってことだ、って取るけど、いい?」
非番とはいっても、帯刀している。
男の、つばを飲む音が聞こえた。脂汗か冷や汗か、大粒のものが
これは、
それこそ、切り捨てることになるだろう。手加減をするのは苦手だ。
着物が汚れるので、できれば
「…っく!」
男が、刀を抜くことがなかった。睨みあったままに、男を追いかけていたらしい人たちと、
男を捕らえようとかかるのを見て、ひらりと身を
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