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ユリから返信が来ないから彼女のTwitterを見たら、更新日時はつい三分前になっていた。スルーしやがったな、と思いながらスマホを仕舞う。明日の学校帰りに行く買い物の約束だった。待ち合わせ場所決めてる途中だったのに。
わたしのまわりの子は、ほとんどみんな自分のSNSアカウントを持ってる。わたしは作っていないけど、友だちのページには気が向くと顔を出したりはしている。でも、すごく不思議に思う。みんな、わかってるのかな? それを更新することで、自分が他人から監視されてること。
レオのTwitterはあいかわらず放置されたままだ。そうしたくなくても、わたしは何度もアクセスしてしまう。たとえ更新されても、いいねもリツイートもするはずないのに。だって、あのひとはわたしが自分のTwitterを知っていることを知らない。レオが使いそうな単語を検索画面でいくつか打っていたら、たまたまアカウントを見つけてしまっただけなのだ。あの頃はそう、そんなことができるほどよくわかってたんだろう。
いまは、どうか知らない。
「なんか、青春っぽいことしたいよねー」
プリクラのスタンプにあった『永遠の十七歳』の文字を見て、ユリがつぶやいた。「青春ねえ」とわたしはとりあわずに画面のプリクラをデコる。
「だってもう高校も半分終わっちゃうんだよ? あたし、なんにも楽しんでないもん」
「こうして一緒に出かけてんじゃん」
「そりゃ楽しいけど、ナナ、女だし」
「オトコがいいわけ?」
「率直に言えば」
「彼氏欲しいだけじゃん」
高校生の口から青春という言葉を聞くと、わたしはいつも笑ってしまう。理由はわからない。
「ナナも彼氏つくりなよ」
「ヤだよ、面倒くさい」
瞬間的にレオの顔が浮かぶのは、わたしのせいじゃない。最近忙しかった部活のせいで、脳の調子が悪いだけ。
ユリと別れて街の本屋から出たところで、一瞬息が止まった。道の反対側の歩道を歩く二人が見えた。レオと女の子。
あの子だ―。
リュウの言っていたことを完全に信用したわけではなかったけど、この間のレオの口調から、結局ただの噂だったんだと思っていた。でも……やっぱり、ほんとなのかな。指先が小さく震えてくる。
なんでよ。
この程度のことで動揺してる自分が超イヤ。
家に帰ると自分の部屋に閉じこもった。ベッドにもぐりこんだ。お母さんが夕飯に呼びに来ても返事をしなかった。誰にも会いたくなかった。
ねえ。
洋楽のロックがんがん流して、泣きながら眠って、これが十七歳の青春なの?
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