1-6
だけどそれも今日で終わりだ。
有休を取った。
上司が本当の理由を知ったらきっと笑って、そのあとに怒られるだろう。
彼の卒業式の日なんです。
だから、朝と多分昼。彼と同じ電車に乗りたいんです。
自分でも馬鹿みたい。
でも偶然、彼と同じ学校の女子高生が卒業式の日程を話してたのを聞いてから、私はいてもたってもいられなくなったんだ。
気付いたら有休を取って、わざわざ早起きして朝の電車に乗り、彼を見送っていた。
あとは帰りだ。
卒業式ってそんなに長くないはず。
でも友達と遊ぶかな。
それとも、彼女?
どっちもあんまりいなさそうだけど、もし彼女がいたらショックだ。
いや大丈夫。あんまり社交性とかなさそうだし、ああいう静かそうな男子は高校ではモテない。
もっと明るくて馬鹿っぽい子が人気でるはず。
だからお願い。
女子高生で彼の魅力に気付く人がいませんように。
我ながらひどい願いだった。
そう祈りながら、私は彼が降りた駅のすぐ側にある喫茶店で紅茶を飲んでいた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます