5#風船と戯れるカモメ

 ・・・ゴム風船・・・


 


 ・・・俺の吐息が詰まったゴム風船・・・




 セグロカモメのトフミはそっと、嘴の鼻の孔を赤い風船に押し付け、くんくんとゴムの匂いを嗅いだ。




 ・・・潮の香りと伸びきったゴムの匂い・・・




 ・・・君は、どこから飛んできたんかい・・・?




 ・・・ようこそ、俺のとこへ・・・




 カモメのトフミは、ほっぺたをめいいっぱいぷくーーっ!と膨らませ、オレンジ色の風船や、紫色の風船、白い風船、ピンク色の風船・・・

 と、次々と嘴の鼻の孔を風船の表面に押しあて、くんくんと臭いを嗅いだり、翼でポンポンと叩いて、フワフワした感触を楽しんだ。


 


 ・・・ゴム風船・・・




 ・・・ゴム風船・・・




 ・・・ゴム風船・・・



 

 カモメのトフミは、徐に黄色い風船を『花畑』から取り出すと、


 ぽーん・・・


 ぽーん・・・


 と、翼や頭、尾羽や、背中で風船を突いて遊んだ。


 ぽーん・・・


 ぽーん・・・


 「おっと!」


 トフミは、飛んだり跳ねたり、フワフワと跳ねる風船を突いて楽しんだ。




 その上空では、一羽の影が浮かんでいた。




 突然、その影が風船の『花畑』に向かって垂直に落下してきた。


 「な、何だありゃ?!」

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