3#風船を確かめるカモメ
「さてと・・・」
セグロカモメのトフミは、ヘリウムガスが抜けて海岸に漂泊してきた、ゴムの表面が凸凹とシワがよって萎んでいる大量の風船のをまじまじと眺めた。
「風船って、どうやって膨らますんだっけ?」
トフミは、萎んだそれぞれの風船を嘴や鰭脚でまさぐった。
むにゅっ!
むにゅむにゅっ!
ぎゅっ!
「あれっ!」
カモメのトフミは、表面がしおしおになっている場所に鼻を押し付けると、ぎゅっ!と吸い込まれるようにシワが無くなり、一回り縮んだようになってしまった。
「やっぱり、ゴムが伸びきってるみたいだなあ。膨らんでだいぶ経ってるんだしなあ・・・
んーーーーと、この細くなってるとこが、怪しいなあ。」
カモメのトフミは、風船の吹き口に連なる窪んだ場所を嘴でくわえて、くしゅくしゅと咬んでみた。
潮の味としゃきしゃきしたゴムの感触が、口いっぱいに拡がった。
しゃきしゃきっ!
しゃきしゃきっ!
しゃきしゃきっ!
ぷくっ・・・
萎んだ風船に、ちょっとだけまだ残っているヘリウムガスが、本体をくしゅくしゅと噛んでいる際に逆流させて、窪んだ場所を膨らませた。
「うわー!面白え!」
むにゅっむにゅっ!
ぷくっ・・・
むにゅっむにゅっ!
ぷくっ・・・
「おっ!何だか分かってきたぞお!」
カモメのトフミは、風船の窪んだ場所の先の吹き口に付いている、栓を嘴でまさぐって、
ぽん!
と外した。
すると・・・
ぷしゅーーーー・・・
風船の中に貯まっていたヘリウムガスが、カモメのトフミの顔にもろにかかった。
「ぶふっ!やっぱり・・・!」
カモメのトフミは、すっかりガスが無くなり縮みきった、オレンジ色の風船の吹き口を見つめた。
「あそこから息を吹き込めば、風船が大きくなるんだな。分かった!」
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