2#風船を捨てるカモメ

 「あった!」


 セグロカモメのトフミは、公園の燃えるゴミ入れを見つけた。


 「よーし、風船のゴミを捨てちゃおう・・・あれ?」




 トフミは青ざめた。



 

 「しまったーーーーっ!嘴に風船の紐が絡まったあ!」


 トフミは、ゴミ箱に持っていく途中に風の煽りを受けて、黄色い嘴に絡んだ紐を取ろうとして、もがいた。


 「取れない取れない取れない取れない!」


 トフミは、殆ど涙目になって嘴に絡んだ紐を取ろうとして、もがいた。


 トフミの脳裏には、ある恐怖妄想がよぎった。



 

 そのまま食べられなくて餓死




 「嫌だああああああああ!こんなのお!」




 ・・・そうだ!・・・




 カモメのトフミは、立木の枝に風船の束を引っかけて、ぐっ!と引っ張った。




 ぐぐぐ・・・するっ!




 「ふぅ・・・よかったぁ!取れた。あれ?」


 トフミは、紐を引っ張った反動で紐から萎んだ風船がぷっつり取れたのを見つけた。


 「この風船、膨らませばまだつかえそう。

 じゃあ、取れてない風船も全部取っちゃお!」


 カモメのトフミは、鰭脚で風船を押さえて、嘴で紐を引っ張って、萎んだ風船を全部取り除いた。


 「じゃあ、割れちゃてる風船と、厚かましい紐はゴミ箱に・・・」


 ぽいっ!


 カモメのトフミは、取り除いた萎んだ大量の風船を嘴いっぱいにくわえて、海岸へ戻った。

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