7. 不思議な日常のなかに

 リースにとっては、不思議だった。

 毎日のように、遊びにやってくる、この2人。

 無邪気であり、快活な性格のレファ。

 それとは対照的に。

 どこか人の顔色を伺いつつ。時に大胆な行動をするのが、ジル。

 あちこちが正反対のこの二人。

 人にとっては嫌われ者であるはずの「魔女」であるリースを、まったく怖がらない。それどころか、リースを「森にいるちょっと不思議なおねーさん」くらいにしか思っていなさそうなのが、逆にこっちが怖いところだ。


そんなくらいの、平穏な日々。



そんなある日、リースは変装して、食材などを調達しに、人の国へ赴いた。

ちょうど、目的を達成して、森に帰ろうとしたときに。

 ハラハラと、チラシが舞う。どこからか風に飛ばされてきたようだ。

足元の一枚を、なんとはなしに拾うと、見出しのひとつに。

『レファナント王子、誕生の日迎える』

レファナント。――なんとなく、覚えている。

「レファナント・マナ・イスク」

記事によると、もうすぐ12になる子供だという。

 ······そういえば。

この頃よく来る、あのふたりもおそらく、そのくらいの年齢か。

 それから、記事の下のほうにはもう一つの国のことも。

「同時期に、西の国の王子もお披露目か」

 一番下、その王子の名は。

「――ジスティール・フォン・セリア……?」

 少し、ほんの少しだけ、気になった。「勘」というやつだ。

 後に、その勘は当たることになる。

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