3. 最初の魔女のおとぎ話

 ――その少年は、孤独だった。

 彼は、「友」を望んだ。

 長い、ながい時の闇を、たったひとりでそこにいた。

 ――あるとき、どこからか迷い込んだ猫がいた。ツヤツヤした毛並みの、まんまるの目の猫だ。

 最初は、少年が勝手に話し相手としていた。

 けれどそのうちに猫は、彼に擦り寄るようになる。

 ――まるで、こちらの言葉が解っているかのように。

 


 あるとき、少年は考えた。

「この猫と話せたら」と。

 そして、今では「魔法」と呼ばれるそれの研究に明け暮れた。

 ただただひたすら、猫と会話をしたくて。

 


 後に分かる、三百年という研究時間の末、その研究は完成した。

 ――けれど。

 その時にはもう、そばに猫はいなくなっていた。寿命、というものだった。



 ハラハラ、はらはらと崩れ落ちる、涙と心。

 いつの間にか、猫という「友」を、欲する心が強くでてきていたのだ。

 当時は、もちろん「禁忌」とされてもない、蘇りの魔法を探した。

 その末に、猫の魂が転生していることが分かる。

 転生されていては、「蘇り」はできない。

 諦めきれなかった少年は、心に誓う。

「いつか必ず、友とまた語ろう」



 そうして、月日を重ねるうちに、少年は世界で最初の魔法使いとなり。

 ――いにしえの神、と崇拝される頃にはもう、自由は何処かへと消え去った。

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