3. 最初の魔女のおとぎ話
――その少年は、孤独だった。
彼は、「友」を望んだ。
長い、ながい時の闇を、たったひとりでそこにいた。
――あるとき、どこからか迷い込んだ猫がいた。ツヤツヤした毛並みの、まんまるの目の猫だ。
最初は、少年が勝手に話し相手としていた。
けれどそのうちに猫は、彼に擦り寄るようになる。
――まるで、こちらの言葉が解っているかのように。
あるとき、少年は考えた。
「この猫と話せたら」と。
そして、今では「魔法」と呼ばれるそれの研究に明け暮れた。
ただただひたすら、猫と会話をしたくて。
後に分かる、三百年という研究時間の末、その研究は完成した。
――けれど。
その時にはもう、そばに猫はいなくなっていた。寿命、というものだった。
ハラハラ、はらはらと崩れ落ちる、涙と心。
いつの間にか、猫という「友」を、欲する心が強くでてきていたのだ。
当時は、もちろん「禁忌」とされてもない、蘇りの魔法を探した。
その末に、猫の魂が転生していることが分かる。
転生されていては、「蘇り」はできない。
諦めきれなかった少年は、心に誓う。
「いつか必ず、友とまた語ろう」
そうして、月日を重ねるうちに、少年は世界で最初の魔法使いとなり。
――いにしえの神、と崇拝される頃にはもう、自由は何処かへと消え去った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます