6. 魔術交場の長身青年

 情報収集をしたいのなら、と。

 ジジに案内されたのは、「魔術交場」という呼び名の、市場だった。

 そこには、「魔」を持つ者しか入れないように、特殊な札があちらこちらに貼られていた。ついでに、会員制らしく、受付がある。

 ジジを――クローディアを知っていた者らは、リースに興味深々だ。 リースはリースで、「市場」というものは初めて見る。興味深々だ。

 なぜクローディアは、このような場所を教えてくれなかったのか。

 それよりなにより。受付とジジの会話。

「へぇー! 今どきに、独学の魔女ですか。ジジさんも、面白いお方をお連れに」

「……」

 独学魔女。初めて聞く言葉だ。

 まさか、ジジは「そういう」記憶なのだろうか。ああ、けれど。そうでなかったら、「師匠は何処」状態だから、仕方無いのだろうか。まあけれど、何だか………。

「……お嬢さん? お名前は?」

 呼ばれて、はっと、現実に引き戻る。

「は、はじめまして。リースと申します」

「はじめまして。リースさん。僕はカーバス。この通り、いつもここの受付をしている者です」

 カーバスと名乗る人物は、背が高い。立った状態では、表情が見えないくらい、高い。ついつい全身を凝視してしまう。

 そして、そんな彼のためのようなくらいに低い椅子に座ることで、やっと目を合わせられる。


「ようこそ、魔術交場へ」 

 色素の薄めな茶色の髪と、逆に濃い茶色の目のコントラストが印象的な、好青年だった。

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