3. 十年の修行
灰色魔女、リースはその日、魔女修行を始めてちょうど十年になる。
普通、魔女の修行期間は百年単位だ。しかし、リースの修行は十年目の今日、終了となる。
からくりは、師匠であるクローディアの持つ「時の流れを緩める」という能力にある。
「あんたの修行、ぱっぱと十年くらいで終わらせるわよ」
まさか、ぴったりと有言実行されるとは思わなかった。つくづく、とんでもない魔女の弟子になったものだ。
魔女や精霊などの、永き時を生きる者らからすれば、十年なんて、あっという間だ。
なぜ、能力を使ってまで、こんなに早く修行を終わらせるのか。そこには、この世界の「お偉方」に対抗するクローディアの思惑があることには、さすがにリースは気づかない。
この世界は、三つの空間で形成されている。
「地」には、悪魔と呼ばれる者らが。
「空」には、人や精霊、害のない魔族が。
「天」には、様々な神々、――通称「お偉方」が。
クローディアや、リースの前の姿である、アルテミスは知っていた。
この世界の均衡は、本当はいつ崩れ落ちてもおかしくないほどに、危ういものであることを。
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