13. 友人と愛弟子
アルテミス――月の女神、という名を持つ女性と、クローディアは友人だった。死んだら転生するように、お偉方が指示したのも、彼女の大切なひと、ハウルのことも、少なからずは知っていた。
もっといえば、精霊狩りの少女が、大樹の少年を目覚めさせ、魔女と精霊になった話も、思い出した。
だが、アルテミスの死後の、ハウルの行方までは知らない。興味がなかったからだ。
千日魔女も、万能ではない。
まさか、旧友の生まれ変わりを、自分の弟子にするとは。知らなかったとはいえ、なんと酔狂なことをしたものだ。
――だが、悪くはない。
アルテミスとリースは、違わないが、似ていない。どこぞやの、青年精霊の言いたいことは、もっともだ。
アルテミスは、アルテミス。リースは、リースだ。きっと、似ていない。いくら、同じ魂であっても。
アルテミスは、強い女性だった。感情の移り変わりで、表情がコロコロと変わる、見ていて飽きないような、朗らかな笑い方をした。
リースは、弱い。表面はあまり変わるわけではないが、内面はものすごく、脆い。だが、見えない。その上、ポーカーフェイスに近い。けれど、よくよく注視すると、わかるのだ。感情が。
――強い友人だった、アルテミス。
――脆い愛弟子の、リース。
クローディアは、二人を意識しては、比べない。比べる理由がないからだ。無意識なのは、仕方ない。いつかは直るだろう。
――だって。どっちだって、大切なひとだもの。
この時はまだ、お偉方の思惑など、誰も知る由はなかった。
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