7. 深い夢

 とある少女は、家族を守りたくて、仕事を探した。出会ったのは、「精霊を捕まえる」という仕事。


 精霊狩りだ。


 少女は、少女の事情で、そうするしか選択肢はなかった。けれど、いつも思う。自分は、とても悪いことをしている、と。

 

 ある日、精霊が報復として、少女の家族を、皆殺しした。

 行き場をなくして、後悔した少女は、いつの間にか、深い森に足を踏み入れていた。

 すると、大樹が少女を導くかのように、「木の根」が道を示した。

 導きの先には、一人の精霊が、大樹に寄りかかって眠っていた。美しい、少年だ

 大樹の葉と同じ色の髪が綺麗で、思わず手を伸ばしかけて、踏みとどまる。

 少女は、家族を守るために、精霊狩りになった。けれど、そのせいで、家族は殺された。

 ……守るつもりで、守れなかった。それにここに至るまでに、多くの精霊を傷つけてきた。

 そんな自分は、こんなに綺麗なひとに触れることなど、許されない。自分が、許せない。

 

 ――泣かないで。





 それが、夢だったことに気づいたのは、目を開けてすぐに、クローディアの顔が見えたからだ。

「……ディア?」

 なぜかクローディアは、ひどく悲しそうな眼をしていた。名を呼ぶと、いくらかの安堵の目になる。

「あの……」

「あんた、三日間も起きなかった。うなされていたわ」

 安堵と、戸惑いの色の声だった。淡々としているようで、どこか、不安げな声。

「ねえ……誰に、謝ってたの?」

 夢の記憶は曖昧で、聞かれても、うまく答えられない。

「……誰がいたのか、誰もいなかったのかも、思い出せないんです。ただ、一言だけ――」

 

 「泣かないで」と、慈愛に満ちた、誰かの声だけが。それだけが鮮明に頭に残っていた。

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