第45話 クラブに向かう四人の女子高生と教師一名
翌朝私は遅めに目を覚ました。
もう昼前である。
私達の遊ぶクラブは14時開演であった。
私は遅めの朝食を摂ることにして、冷蔵庫の中を開く。
牛乳を手に取り冷蔵庫を閉めると、シリアルを棚から出して皿に入れていく。そこに牛乳も注いで完成だ。
私はむしゃむしゃとそれを食べていた。
電話が抹茶ちゃんからかかってきて、もう起きたかと聞かれる。私はさっき起きたところだと言う。
「今、朝食を摂っているところだよ」
「そう、じゃあ14時開演だから13時半に駅前に集合だよ?」
「うん、わかってる」そう言って私は電話を切った。
今回のクラブは電子音楽のユニットであるCrows windowという人がDJをやるらしい。私はよく知らなかったが、最近有名になってきたユニットらしい。
時計を見るともう12時だった。
私は洋服を着替えることにした。
今日は赤いワンピースにする。
靴は少しヒールの入った靴にしよう、なんて考える。
13時に家を出れば、待ち合わせ場所には充分間に合う。
私はそれまでまたAutechreのアルバムを聞いていようと思った。
AutechreのUntilted。私がAutechreで一番好きなアルバムだ。
聞いていると脳内が暴走していくのが分かった。
私の熱量を持った体内がぐちゃぐちゃにかき回されてくる。
ああ、君島先生。ああ、君島先生、ああ、きみしませんせい。
私はクラブに行く前にぶち上がっていた。
もう一時だったのでアルバムの続きをポータブルプレーヤーで聞くことにすると、家を出た。
玄関の鍵を締める。
ああ、暑い。ああ、暑い。ああ、あつい。
汗がダラダラと出てきた。
待ち合わせ場所に着くとみんながもうそこにはいた。私はアルバムが終わって無音状態になっていたカナル型のイヤホンを耳から外し、みんなに言う。
「やあ、夏休み、楽しんでる?」
「楽しんでるよー。ステファニーさん、もう汗ダラダラだわ。大丈夫?」抹茶ちゃんが言った。
「とても暑くって」
「私が今汗を拭いてあげますからね」雪子さんがバッグからタオルを取り出して私の汗を拭ってくれる。
「僕はクラブ行くの初めてだよ。二十五歳だけど」君島先生が言う。
「私もです、先生」工藤さんが言った。
14時ピッタリにクラブに着くと防音ドアからもう音が出ていた。
「なんかドキドキするわね」私がそう言うと、横にいた抹茶ちゃんが熱に浮かされた顔で頷いた。
「そう言えば、私、世界を変えたことがあるような気がしてきた」
「え?」
「たしかそれは魔法を使って。そのせいで未来神社に隕石が落ちたような・・・」
「気のせいよ、抹茶ちゃん。さあ楽しみましょう」
私達は中へ入ると、クラブの熱狂と熱気にたちまち頭が狂わされていった。
冷静ではいられない音楽空間がそこにはあった。
私は踊り疲れると、抹茶ちゃんと工藤さんと雪子さんと君島先生を連れて休憩所に行った。
そこの自動販売機でジュースを買う。
ジュースのプルトップを開けて勢い良く喉にジュースを流し込む。
冷たい冷たい冷たいジュース。
「もう、帰ろうよ~」工藤さんが言う。
「私ももう疲れちゃいましたわ」雪子さんも言う。
「じゃあ、帰ろうっか」抹茶ちゃんが言った。
「僕も生徒の監督疲れたっぽ~」君島先生がそう言って椅子の上で寝そべる。
外に出た後、抹茶ちゃんがみんなに向かって、
「また来ようね」と言った。
「う~ん・・・」工藤さんが言う。
「行きましょうね。今度は最後までいたいと思います」雪子さんが言う。
外の陽射しと踊り疲れた私の体は火照っていた。
そのまま今日は解散になった。
私は帰り道にポータブルプレーヤーでまたクラブミュージックを流した。
Untilted...
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